【完】甘辛ダーリン絶好調♪


「李…衣…」

「はぁ…や…て…」

あたし達は、また…

「んんっ!!」

甘いキスをする颯に、あたしの思考はストップ。

「はっ…はぁ…」

息も出来ないくらい、でも、幸せな…

「李衣…お前感じすぎだろ」

「うっさい!!」

「顔赤い奴から言われても、全然恐くねぇし」

……む。

「颯…」

「な…んだよ…」

うるんだ瞳で、あたしは颯を見上げた。

「ねぇ…」

「な…///」

あたしから颯にキスをした。

「お…ま…」

リップ音をたてたあたしに、颯はア然。

へへっ…してやったり!!




「はぁ…お前…ちょっ…もう一回しろ」

えー??

「聞こえなーい」

「して?」

…………何これ、立場逆転?

「はっ?りぃ、そんなの嫌なんだけど」

強気で行く!!

「その口裂いてやろうか」

「……しゃーせん」

「それ…謝ってんの?」

「ごめんねっ(泣)」

「…///」

謝ったら、なんか許された。

でも、嫌っていうほど嫌じゃないよ。
颯だもん!
恥ずかしさは捨てるよ!!

あたしはもう一度、颯に顔を近付けた。

グイッ

「ぅむぅ?!」

颯が顎を掴んで、あたしの唇を自分の唇とあわせた。

「プッ」

?!何…今の…く…空気?!

「空気入れたで…しゅむぅ…」

またキス。
あれ、颯ってキス魔だったっけ?




「プハッ…はぁ…くるし…から…」

「だから〜んな顔すんなって…止まんねぇから」

グッと入るアレに、あたしの身体はのけ反る。

「ちょっはやくっない?!」

「ぜ〜んぜん?」

「あっ…ちょ…まっ…」

「待たねぇし…待つかよ。ってか、これ以上待てねぇよ」

「あぁっ!!!!」

「李衣…誕生日おめでと」

「ん…あっ!」

幸せに落ちたあたしの薬指には、キラリと光るリングが1つ。

一際輝いていた。

リングの裏には、英語やかっこつけた言葉じゃなく日本語で、颯の思いが彫られてる。

あたしは、超大事にされてるって…実感するこの一言。





"李衣、一生お前に惚れてやる"





…あたしも
一生、颯に惚れてやるよ…





鮮やかな陽のひかり。

真っ青な雲1つない快晴。

真っ赤な絨毯。

響く鐘の音。

ざわめく人の声。

ささやかな幸せ。

「う…く…うぅ…」

そして…泣きそうになるあたし。

「ったく…お前が結婚すんじゃねぇんだぞ?何新婦より先に泣いてんだよ」

それにツッコむ颯。

「うざっ!いいじゃん、めでたい日だよ?!」





そう、今日は…

「美代…」

「はっ疾風さん…」

「…綺麗だ」

「クスッ…」



疾風と美代さんの結婚式です♪

「泣かないで?李衣ちゃん…貴女にはとても辛いことを「なんで目を潤ませてんですかっ!!今日は、世界一幸せになる日ですよ!!」

あたしの一言で、

「り…李衣…ちゃん…」

さらに目を潤ませてしまった…

逆効果になっちゃったよ…(泣)




「ったく…お前は…人が良すぎんだよ…だからこんな、ただのイケメンに引っかかんだ「ただのイケメンじゃないですけど。つか、貴方こそただの元カレのくせに、俺の批評やめてもらえます?」

……ひっ火花が!
あたしには、火花が見える……っ!!

「李衣っ!コイツはやめとけ!」

「ぁあん?てめぇにとやかく言われる筋合いねぇんだよ。李衣は、俺のになんだよ」

「物扱いすんなよ」

「口ぶりだけで判断すんなよ」

……ちっさ…ものっそ小さい…

「り…李衣ちゃん」

ん?

「私のこと…許してくれるの?」

「昨日も話したじゃないですか…あたしは、2人が幸せになってくれないと困ります」

「う…うぅ〜(泣)」

「あぁー…(汗)」

また泣きそうに…

「てめぇどの面で喋ってんだよ」

「この面だよ、つかこの近距離で見えねぇなら、眼科行け」

……とにかく、騒がしい…






「おぃお〜い…新郎?あんたも、泣きそうな新婦に気付け〜」

あたしはいがみ合ってる2人に向かって、そう言い放った。

「えっ、美代!?大丈夫かっ?どうした?!李衣か?李衣の仕業かっ!?」

…あたしに罪を被せんなよ…

「ちっ違うの!違うのよ?疾風さん…」

「?」

「私…すごく幸せ…」

涙を浮かべながらも、ふわりと微笑む彼女は、あたしから見ても、すごく…幸せそうだった。




「いいなぁ〜やっぱり、結婚って素敵だねっ♪」

結婚式は無事終わり、あたしは2人のラブラブっぷりを見せ付けられた。
2次会誘われたけど、未成年だし…てか、正直…





ラブラブに付き合いきれなくなった。

まっじっで、ラブラブ。
ありえないってほどに。
あの、疾風がこっちに赴任してた間の距離が、このラブラブっぷりに影響したと思われるな。

あー…ちょっと羨ましい…

あたし、颯とイチャラブこいたこと、あんまない気がする…

あっ、あたし達も、この間まで距離あったからかな?

……いや、違うかも。

「結婚、結婚うっせー奴」

この、態度のせいかも!(怒)




「はぁっ?!世の女の子の憧れに、いちゃもん付けないでよっ!!」

あたしは、フイッと颯から顔を反らし、ズンズンと前を歩く。

颯って、こういうとこあるもんな…
だから、あたしの機嫌が悪くなんのよ。
だってあたしも…相当な負けず嫌いだし。
この颯の的確な一言が、妙にイラッとするのは、あたしのこの負けず嫌いをくすぐってるからだと思う。

フワッ

「えっ?」

颯の愚痴を、心の中で言っていると、急に抱きしめられた。
足音しなかったし、ここ…河川敷だよ?!
親子が近くでキャッチボールしてるよ?!
男の子が見てるよぉ〜(泣)

「李衣…」

掠れたような、颯の声に…胸が締め付けられる。
まただ…あたし、コレに弱い。





「何?」

あたしは自分の心臓の音に、声が震えないよう細心の注意を払って声をだした。

「震えてんぞ、声」

だけどバレた。
なんでぇ〜(泣)

「う…うっさい///」

「………」

「なっ何黙り込んで…へ?」

後ろを向くと、真っ赤な顔の颯。

「何?何で赤いの?」

「はー…」

あたしの質問に、深く溜息をつく颯。

「??」

「ったく…お前は…」

「何なのよぅっん?!」

呆れたように呟いた颯は、そのままあたしの唇を奪った。
あたしの後頭部に、颯の手があるから…離れられないっ!!
犬の散歩中のおばさんが、顔赤らめてるよっ!
恥ずかしいよー…息出来ないよー…
意識は朦朧。
クーラクラ。
あぁ…あたし、ここで…キスで死ぬんじゃ…?