「んだ…それ…ってか、どんな容姿?」
どんな…容姿?
「えっと…黒髪のロング?だったような…」
「んで?」
「でるとこでてて…颯に笑いかけてた」
「それ…」
ドキッドキッ…
やばい…心拍数が…
「オーナーだ」
「……へ?」
オウナア?
「オウナアって何?」
「はぁ?!オーナーだよ。店長だ」
「て…店長?!」
「あぁ…つか…俺の浮気相手がオーナーかよ。ありえねぇし、趣味わりぃし」
………何…浮気…じゃないの?
じゃあ…なんで隠す必要が?
ってかそもそも、そこで何してたの…?
なんであたしの仮マネに、同意したのっ?!
もう、聞きたいことがありすぎてわけわかんない。
「ごめん、何か…隠しすぎてお前を不安にさせてたんだな…ったく、こんなことなら言っておきゃよかった…」
「……何を?」
うるうるしてきたあたしの瞳に、小さくキスを落とした颯。
「………///」
久しぶりすぎて、恥ずかしくなった。
「なんだよ…なんで赤いんだよ…つかそれ、いい加減治せよ…」
呆れたような、なんだか嬉しいような…そんな瞳であたしを見つめてくる。
「う…」
「つか、これ」
目の前に差し出されたのは、小さな箱。
「?」
意味わかんない。
何…これ?
いつまでもはてなを浮かべているあたしに、
「いいから開けてみろって」
ニッと笑う颯。
「……わかった」
あたしは、箱の紙を丁寧にはがし、中を開けた。
「………っ……!!」
「おいおい…」
だって…
ありえないし…
もぉわけわかんない。
頭がこんがらがってて…
「李衣…」
涙で揺らめく颯は、優しくあたしの名前を囁いた。
「ちょ…なんで…よぉ…グズッ」
「泣いてんなよ」
「だっでぇーっ!!」
「あははっ…ひっでぇ顔!!」
酷くていいもん。
もういいもん。
「それでも、颯は…」
「ん?」
「あたしを…あたしをもらってくれるんでしょ?」
泣き顔なのに、笑ってるあたしは、正直おかしいと思う。
「………お前…それないわ」
「へ…?ちょっ…!!」
「ありえねぇありえねぇありえねぇ…もうありえねぇ…///」
あたしを抱き抱えた颯は、顔が少し赤くなっていた。
「照れてんの?」
「ばーか」
へへっ…嬉しい…
「今日は帰さねぇから」
「えぇっ!?」
「今まで我慢したんだ。バイトもして…彼女の為に働くなんて、今までの俺じゃありえねぇんだぞ?」
「う…グズ…」
また涙が…なんか、今日は嬉しい日かな?
颯が素直すぎてこわ…
「そんなに泣きたいなら、俺のベットの中でな」
い…ってのは嘘ー!!
あたし…泣かされるのぉ?!
…っていいながらも、なんだか幸せなあたし。
あぁ、もう…こんなになったの…颯だけなんだからねっ!!!
「李…衣…」
「はぁ…や…て…」
あたし達は、また…
「んんっ!!」
甘いキスをする颯に、あたしの思考はストップ。
「はっ…はぁ…」
息も出来ないくらい、でも、幸せな…
「李衣…お前感じすぎだろ」
「うっさい!!」
「顔赤い奴から言われても、全然恐くねぇし」
……む。
「颯…」
「な…んだよ…」
うるんだ瞳で、あたしは颯を見上げた。
「ねぇ…」
「な…///」
あたしから颯にキスをした。
「お…ま…」
リップ音をたてたあたしに、颯はア然。
へへっ…してやったり!!
「はぁ…お前…ちょっ…もう一回しろ」
えー??
「聞こえなーい」
「して?」
…………何これ、立場逆転?
「はっ?りぃ、そんなの嫌なんだけど」
強気で行く!!
「その口裂いてやろうか」
「……しゃーせん」
「それ…謝ってんの?」
「ごめんねっ(泣)」
「…///」
謝ったら、なんか許された。
でも、嫌っていうほど嫌じゃないよ。
颯だもん!
恥ずかしさは捨てるよ!!
あたしはもう一度、颯に顔を近付けた。
グイッ
「ぅむぅ?!」
颯が顎を掴んで、あたしの唇を自分の唇とあわせた。
「プッ」
?!何…今の…く…空気?!
「空気入れたで…しゅむぅ…」
またキス。
あれ、颯ってキス魔だったっけ?
「プハッ…はぁ…くるし…から…」
「だから〜んな顔すんなって…止まんねぇから」
グッと入るアレに、あたしの身体はのけ反る。
「ちょっはやくっない?!」
「ぜ〜んぜん?」
「あっ…ちょ…まっ…」
「待たねぇし…待つかよ。ってか、これ以上待てねぇよ」
「あぁっ!!!!」
「李衣…誕生日おめでと」
「ん…あっ!」
幸せに落ちたあたしの薬指には、キラリと光るリングが1つ。
一際輝いていた。
リングの裏には、英語やかっこつけた言葉じゃなく日本語で、颯の思いが彫られてる。
あたしは、超大事にされてるって…実感するこの一言。
"李衣、一生お前に惚れてやる"
…あたしも
一生、颯に惚れてやるよ…
鮮やかな陽のひかり。
真っ青な雲1つない快晴。
真っ赤な絨毯。
響く鐘の音。
ざわめく人の声。
ささやかな幸せ。
「う…く…うぅ…」
そして…泣きそうになるあたし。
「ったく…お前が結婚すんじゃねぇんだぞ?何新婦より先に泣いてんだよ」
それにツッコむ颯。
「うざっ!いいじゃん、めでたい日だよ?!」
そう、今日は…
「美代…」
「はっ疾風さん…」
「…綺麗だ」
「クスッ…」
疾風と美代さんの結婚式です♪
「泣かないで?李衣ちゃん…貴女にはとても辛いことを「なんで目を潤ませてんですかっ!!今日は、世界一幸せになる日ですよ!!」
あたしの一言で、
「り…李衣…ちゃん…」
さらに目を潤ませてしまった…
逆効果になっちゃったよ…(泣)
「ったく…お前は…人が良すぎんだよ…だからこんな、ただのイケメンに引っかかんだ「ただのイケメンじゃないですけど。つか、貴方こそただの元カレのくせに、俺の批評やめてもらえます?」
……ひっ火花が!
あたしには、火花が見える……っ!!
「李衣っ!コイツはやめとけ!」
「ぁあん?てめぇにとやかく言われる筋合いねぇんだよ。李衣は、俺のになんだよ」
「物扱いすんなよ」
「口ぶりだけで判断すんなよ」
……ちっさ…ものっそ小さい…
「り…李衣ちゃん」
ん?
「私のこと…許してくれるの?」
「昨日も話したじゃないですか…あたしは、2人が幸せになってくれないと困ります」
「う…うぅ〜(泣)」
「あぁー…(汗)」
また泣きそうに…
「てめぇどの面で喋ってんだよ」
「この面だよ、つかこの近距離で見えねぇなら、眼科行け」
……とにかく、騒がしい…