【完】甘辛ダーリン絶好調♪


すると、麻咲李衣…めんどくせぇ…李衣が大声をだし、怒鳴った。

「なんでいきなりキスされて、見ず知らずの人の彼女になんないといけないわけ?!」

なんでキレてんの?

普通喜ぶんじゃね??

でも、姉貴にしか怒鳴られたことがない俺は、無性にワクワクした。

そして俺は、口元を少しあげて、自信満々にこう言った。

「俺が言ったことは絶対。結局はそうなる。必然だかんな」

だけど…

「あたし彼氏いるから」

はい?ありえねぇ展開だ…まさかの彼氏持ち??

いや、俺は諦めない…




俺は、無理を承知でこう言った。

「はっ?……別れろ」

李衣は即答で、

「無理でしょ」

俺の諦めない意思を、踏み付けた。

イラ…

「俺の言ったことは絶対なんだっ!!」

「無理だからっ!!」

これ以上言い合いが続くと、めんどくせぇ…さらに脅しだ。

「ふぅん…そっ…俺さぁ、モテるから、俺がお前に告ってふられたって女達がきいたら、お前確実に殺られんぞ〜?いいのか〜?」

これでコイツも…

チラリと李衣を見ると、泣きそうになっている。

キュン

…やべっ!今、俺キュンってなった…

小動物みてぇ…かわい…

「わかった」

おっしゃ!!手に入れた!!

「よしっ!!契約成立っ俺がぜってぇ守ってやっから」

俺は、にこっと笑った。

今まで、楽しくない笑いはたくさんしたけど、こんなに楽しみな気持ちが溢れ出る笑いは、初めてだった。





そして李衣は、その場で電話しだした。

なにも…今すぐに別れろって言ったんじゃないのに。

だが、話は思わぬ展開になって…

『…は…李…?』

「疾風くん?今いい?」

……疾風くん?!俺と同じ名前かよっ!!

ムカつく……

そして俺は、電話から少しもれてる声に耳を澄ます。

「ほんとに…突然なんだけど、別れよ?」

『え?………あっ………ま…さ…美代……』

あ?
コイツ…もしかして…

『あ……さ…美…が…った…と…ら…嘘…よ?俺には…衣だ……し』

ははぁ…浮気だな。

李衣も悪い奴に捕まったもんだ。





「疾風くん…もしかして、浮気…?」

李衣も意外とカンがいいな。

電話の向こうで、必死に弁解するソイツ。

惨めだな…

李衣を見ると、激しく燃えていた。

「……疾風」

『は……い?だ…ら…は李……けだ「黙れカス」…す………ん…し…』

だいたい、李衣がいんのに浮気すんのがわりぃな。

李衣は、かなりムカついてるみたいだ。

それだけ好きだったってことなんだけど、少しモヤモヤすんのは気のせいか?



なんか李衣が、俺の知らない男と関係もってたってだけでムシャクシャする。

李衣は、電話でソイツと言い合ってるし…

ムシャクシャなんて…

なんでだ?こんなこと、いままでなかったから、わかんねぇっ!!!

俺は、乱れる想いを李衣の携帯にぶつけ、優雅にさった。

実際は、心ん中めちゃくちゃで、額にキスしてカッコつけてる場合じゃなかったんだけど。

くっそ!ムカつくぜ疾風!!
だか、てめぇの李衣は今日から俺の李衣だばーか!!

俺は、顔も知らない疾風を心の中で罵倒した。



一応、今からカレカノなわけだし、後で迎えにでも行ってやろう。

李衣とのこれからの日々が楽しみだ。









あたしはお説教のあと、担任に発表された教室にいった。

1−Dってかなり影の存在じゃない?

まず、あたしは“ま"を探し、席についた。

「あぁ〜麻咲ちんじゃんっ!!!」

誰?…
あたしは声のしたほうを向く。

「うわっ奈葉っ!!」

その人は、小学校のときよく遊んでいた、

小宮間 奈葉(コミヤマ ナハ)

くんるっくるの金色の髪が、目立ってる。
口元に黒子がある。
小悪魔綺麗系。
性格は…Mだと思う。


「麻咲ちんもここだったんだ〜っちょ〜うれしぃっ!!」

奈葉変わんないわ〜…

「奈葉…綺麗になったね」

「えぇ…何なに?麻咲ちん、奈葉のことなんかすんのっ?!つかお母さん??」

いや〜んっと言わんばかりに、のけ反る奈葉。

「殺られたいの?」

にこっとあたしが微笑むと、

「すいまそん」

適当に受け流しやがった。

まぁいいや。


あたしが奈葉との再会に浸っていると、女の子の奇声が聞こえてきた。

何…この騒ぎ。





「あっ…もしかして、颯様じゃない?」

はやてさま…?

「誰それ」

つか疾風くんと同じ名前だし…

「はぁああああっ?!?何なにっ?!麻咲ちん知んないのぉ〜?!?!」

オーバーリアクションで、両頬に手をあてる奈葉。

「知らないよ」

「ありえない、ありえないっ!!だって颯様っていったら、この学校1のモテ男だよ〜?知らないほうが可笑しいしぃ〜」

「だってりぃは、その人目当てで、ここに入ったわけじゃないもん」

「あぁ〜懐かしー!!麻咲ちんが“りぃ"って言ってるっ」

………忘れてた。
ていうか、奈葉…話変わりすぎだよ…

すると女の子の奇声が止む。
颯様って奴がいなくなったのかな?


「あのさ…ごめんね?ここに麻咲李衣って子いる?」


はい?誰…あたしのこと呼ぶのは…

ドアの方向に顔を向けた。





あっ……

さっきの恐喝男だ……



「李衣?迎えにきたよ?」


………はい?
なんで?一応彼女だから?

「えぇっ?!麻咲ちんって…颯様と知り合いなんじゃん…」

小声で言ってくる奈葉。

は…?この人があの颯様…?
学校1のモテ男?

しかも、疾風くんと同じ名前の人だなんて…あたし、『ハヤテ』に縁があるのかな…?


ていうか…なんかやばい奴の彼女になっちゃったかも…

あたしってつくづく幸ない…(泣)


チラリとその颯とかいう人のほうをみると、“はやくこい"と言ってるみたいだ。

何されるかわかんないし、従っとかなきゃね…


「麻咲ちんっはやくいきなよっ彼氏でしょ?はぐらかしちゃってさーみずくさいっ!!今度詳しく聞かせろにゃん♪」

にやけ顔の奈葉。

…………もうコイツと友達やめたい…


とにかくあたしは、颯とかいう人の元へ素早く走った。





「ねぇ…あなたなにもの?」

「ん?別に?普通の高校2年生」

あたし達は、普通に廊下を歩いている。

おかしいことと言えば、廊下の真ん中を歩くあたし達の両サイドに、女の子の行列ができていることだろう。

しかも、周りはキャーキャーうるさい。

「誰あの子」

「図々しい」

「離れろっつの」

…あたし、悪口言われてない?


あぁ〜…あたしは恐喝されているんですよ〜…

あたしの予想だと、目の前の男は、仮面カブリのクソプリンスですよ〜…

目を覚まして〜…

それにしてもこの男、謎だらけだわ…

校門を出ると、彼は急変した。

「おい李衣。おせぇぞ」

……は?何この態度。

「李衣っ!!」

「なぁにぃ?颯さまぁ?」

あたしの適当かつ、様付けで、彼の額に血管が浮き出た。

「てめぇ…俺をからかうとは、身の程知らずが」

「はい?あなたこそ、あたしを彼女にするなんて、馬鹿じゃないですか?」

「ぁあ?やんのか?」

「めんどいんで、やりません」

「李衣…お前…そこらの女とは違うな」

「当たり前。疾風くんの彼女だったんだもん。この地区でゆうめ…ぅむぐぅうーー!!」

疾風くんの説明中に口を手で塞がれた。

「わうぃううをー!!!」
(なにすんのー!!!)

叫んだ瞬間、離された手。

酸素を目一杯吸い込む。