ズーーーン。
ズモォーーーン。
あたしはあのあと、1ラウンドどころか2…3と…あぁ!考えるだけで辛い。日曜だったからよかったものの…激しいんじゃいっ!
…んまぁ…なんて言うか…結局は、幸せなんだけどね(笑)
「ぅおおっいっ!ノロケんなそこのクソ野郎!」
ぁあ?誰や。わいのことそげな言うのは。
「あぁん?奈葉がそんな口の聞き方していいんか?」
普通に奈葉だった。
「さーせんっした」
「貴様。なめんな」
「スイマセンデシタ」
……外国人かっ!!片言やないかっ!!
「つか、普通にモモちゃんといー感じだったじゃん」
ピクッと揺れる奈葉の眉。
ズゴゴゴゴゴゴォー
どうやら地雷だったらしい。
ものすごいオーラが漂ってる。
まさに…ドス黒い感じ。
「マジ…マジ聞いてぇーっ!!こもちゃんってばさぁ〜」
「こっこもちゃん??」
何そのあだ名。
「奈葉が付けた〜♪可愛くない?」
あたしは、こう即答した。
「ない」
“こもちゃん"って…ないでしょ。
こういうのって、センスが問われるよね。
「えぇー…まぁ、とにかく、こもちゃんというあだ名については置いといて、こもちゃんってばさぁ〜奈葉を相手にしてくんないのぉ〜」
ということは、奈葉はもうモモちゃんに嵌まってるんだ。
あたしはニヤリと笑った。
「なっ…何?りぃりぃ…」
「へっ…君はそんなにモモちゃんが好きなのか…フフッ」
「なっ///りぃりぃ!!!」
へっへへ〜♪た〜のしっ!
恋バナはいいよね〜うふっ!!
ポンポン
……ん?誰??あたしの肩を叩くのは…
「あっ!ふせっちじゃん!!」
ふせっち?
「おい小宮間。“っち"は付けるなと言ったよな?」
「そんなん奈葉が、気にするわけないじゃぁ〜んっ」
振り向くと、風瀬くんだった。
んん?もしや今の話を聞いてて、奈葉の気を引こうと割り込んできた…とか?
ギャッハーッ!三角関係さいこー!!ドロドロばっちこーいっ!!
自分は嫌だけど。
とにかく、あたしはフェアにいきます。
奈葉の恋も、風瀬くんの恋も応援するからっ!!
あたしは、1人メラメラ燃えていた。
「なぁ、麻咲?今週全て暇?」
んん?なんであたし?
「へ?…別に…用事はないけど…」
「じゃあさ、図々しいと思うんだけど、仮マネしてくれない?」
カリマネ?
カリスママネー??
「いや、変な言葉の変換はよせ。仮のマネージャーだ」
あぁっ!仮マネね!!
危ないあぶない…
だいたい、カリスママネーって…自分で思っときながら、何だよ。
でも、マネージャーとか、ちょいと楽しそうだなぁ〜
んへへ…♪
あたしは、お花を頭に飛び散らせていた。
「なんか…りぃりぃ楽しそうだけど、颯様はいいの?」
はっ!!あたしは夢の世界から覚め、颯という現実を知った。
というか、思い出した。
そうかっ!颯と毎日帰ってるんだったっ!
手伝うなら、先に帰っといてもらわないと。
すでに、手伝う気満々だもんねっ♪
「風瀬くんには、『松コン』でお世話になったし、鶴の恩返し的な感じで、協力するね〜♪」
にこっと笑い、マネージャーの妄想をし始める。
「ふせっちって、意外と積極的だよね」
「あ?まぁ…ストレートじゃないと、わかんねぇだろ?あいつは」
「だよね〜(笑)まぁ…ファイトっ」
「あぁ。フッ…ダメ元だけどな」
2人がこんな会話をしているとも知らずに。
「明日から来て」と、風瀬くんに言われた為、今は颯と帰ってる。
「ねぇ?颯?」
あたしは隣に並んで歩いている颯を、体を曲げてグイッと覗き込んだ。
「あ?なんだよ」
何故か眉を寄せる颯。
「えっと…明日から1週間ほど、バスケ部の仮マネすることになったから、先に帰ってていーよ?」
「はぁ?」
明らかに、あたしの仮マネ発言に機嫌を悪くした颯。
「あっのね?その…風瀬くんに頼まれて…前『松コン』で色々お世話になったから、お返しのつもり…で…」
どんどん顔が険しくなる颯。
やばいっ!完全に怒ってるー!!!
でも、スッと険しい顔をやめた。
怒られなかった。あれれ?
「そうか。わかった。俺も今週だけ夕方から用があるから、李衣に言おうと思ってたんだ」
用?颯が用があるなんて言い出すの珍しい…
「そうなの?なんの用事?」
あたしがそう聞くと、何故か顔色を変える颯。
「べっ別にどうでもいいだろ。李衣には関係ない」
なっ…関係ないなんて…酷い。
それに、少し焦ってた。
おかしい…
「ねぇはや…」
「あっ!もう李衣の家だな。またな」
話を遮られた。怪しい…
あたしは、最悪の事態を思い浮かべた。
浮気…
あたしは背筋がゾクッとし、嫌なほう、嫌なほうに考えてしまった。
いやいや、ないよね。
颯に限ってそんな…
うん。そうだよ。
とにかく明日から、仮マネ頑張ろっ!
あたしは、芽生えた不安に蓋をして、眠りについた。
昨日、李衣とヤれた。
マジ幸せ…
「は〜やってくんっ!なんか口がニヤケてますが〜?」
るんるん気分かなんか知らんが、琥桃が笑顔で俺のところに来た。
「はっニヤケてね〜よ」
「あぁ…ついに禁欲生活打破?」
流石琥桃。鋭いな。
「まっまぁな…」
「ほっほー…で?」
ぁあ?“で?"って何だよ。
「何がだよ」
「もーっわかってるく・せ・にっ!!よかったかってこ〜とっ!」
よかったか…?
勿論…
「かなりよかった」
爽やかな笑みを浮かべた俺。
「うっわぁ〜幸せそうだしぃ〜ムカつくぅ〜」
コイツ、小宮間と帰ってたじゃねぇーか。
「琥桃も、小宮間とどうなった?」
「へー?何が〜?」
しらばっくれやがって。
「一緒に帰っただろ?」
「そうだっけー?てへっ」
可愛くねぇーよ。
なんか、琥桃らしくねぇ。
「どーかしたんか?」
俺がこう聞くと、目を見開く琥桃。
「なんで?今まで俺に干渉することなかったじゃん」
そういやそうだな。
「颯も少しは丸くなったか?」
チッまた俺を煽る…
どこまでもムカつく野郎だ。
「うっせー」
「てか、颯が俺に干渉してきたから言うけど、な〜ちゃんってば、ピュア姫でさぁ〜…マジ勘弁」
な〜ちゃん?
って小宮間のことか。
「いーじゃねぇか。俺色に染められて」
「いやいや、もっと軽めかと思ったのっ!俺は。でも、全然でさ…さりげなく熱っぽい視線送ったんだけど、全く効かなくて…正直相手にできないなーってね」
なんだそれ。