【完】甘辛ダーリン絶好調♪



……んっ…朝?

なんか寒い…なんで?

あたしは、重たい瞼を開いた。

ここは…?あれ?フッカフカのベッドに…颯の匂い。

……颯の匂い?

あぁっ!!そういえばあたし、昨日打ち上げのあ…と…颯としたんだっけ///

やっぱり、ちょっと恥ずかしい。

下腹部も少し重いし…昨日のことを思い出しちゃう。

ポ…やばっ!なんか、急に恥ずかしくなってきたっ!!

「李衣?朝から誘ってんの?」

は?颯っ?!

あたしは、下向いていた顔をあげた。

すると、颯のドアップ。

「うっわぁっ!」

「うわぁじゃねーよ。つか、マジ誘ってんの?」

何言ってんのか、さーっぱ…り?

んん?あたし、スッポンポンじゃぁーん!!

何でなんで??

前を向くと、颯がタオルケットと、薄い羽毛布団を全て取っていた。

どーりで寒いわけだわ…







って!!今更気付いただなんて…恥ずかしい…

「昨日見たし、特に問題ねぇだろ」

……大有りだよ!!!
レディにそんな破廉恥なこといって!!!

「百面相だな」

フッと口元をあげる颯。

「ぶはっ!!何そのキラキラした笑顔!」

ありえないしっ!もうキンラキラだし!前よりも、何かカッコよく見えるしっ!!!

なーんーでぇー??

「お前、マジで襲われたいわけ?」

「はいー?!何故に今、そんなことをっ??」

おかしいよね?文章のくだりが。

どこでそうなったの?

ハテナしか浮かばないあたしの脳みそ。

「ばーか。もう1ラウンドするつもりだったし、別にいいや」

はぁっ?!

もう1ラウンド??

「それってどういう…」

「いただきます」

「わぁ!!」

もっかいってこと??
朝から??

いーやぁー!!




ズーーーン。

ズモォーーーン。

あたしはあのあと、1ラウンドどころか2…3と…あぁ!考えるだけで辛い。日曜だったからよかったものの…激しいんじゃいっ!

…んまぁ…なんて言うか…結局は、幸せなんだけどね(笑)

「ぅおおっいっ!ノロケんなそこのクソ野郎!」

ぁあ?誰や。わいのことそげな言うのは。

「あぁん?奈葉がそんな口の聞き方していいんか?」

普通に奈葉だった。

「さーせんっした」

「貴様。なめんな」

「スイマセンデシタ」

……外国人かっ!!片言やないかっ!!

「つか、普通にモモちゃんといー感じだったじゃん」

ピクッと揺れる奈葉の眉。

ズゴゴゴゴゴゴォー

どうやら地雷だったらしい。

ものすごいオーラが漂ってる。

まさに…ドス黒い感じ。






「マジ…マジ聞いてぇーっ!!こもちゃんってばさぁ〜」

「こっこもちゃん??」

何そのあだ名。

「奈葉が付けた〜♪可愛くない?」

あたしは、こう即答した。

「ない」

“こもちゃん"って…ないでしょ。

こういうのって、センスが問われるよね。

「えぇー…まぁ、とにかく、こもちゃんというあだ名については置いといて、こもちゃんってばさぁ〜奈葉を相手にしてくんないのぉ〜」

ということは、奈葉はもうモモちゃんに嵌まってるんだ。

あたしはニヤリと笑った。

「なっ…何?りぃりぃ…」

「へっ…君はそんなにモモちゃんが好きなのか…フフッ」

「なっ///りぃりぃ!!!」

へっへへ〜♪た〜のしっ!

恋バナはいいよね〜うふっ!!





ポンポン

……ん?誰??あたしの肩を叩くのは…

「あっ!ふせっちじゃん!!」

ふせっち?

「おい小宮間。“っち"は付けるなと言ったよな?」

「そんなん奈葉が、気にするわけないじゃぁ〜んっ」

振り向くと、風瀬くんだった。

んん?もしや今の話を聞いてて、奈葉の気を引こうと割り込んできた…とか?

ギャッハーッ!三角関係さいこー!!ドロドロばっちこーいっ!!

自分は嫌だけど。

とにかく、あたしはフェアにいきます。

奈葉の恋も、風瀬くんの恋も応援するからっ!!

あたしは、1人メラメラ燃えていた。

「なぁ、麻咲?今週全て暇?」

んん?なんであたし?





「へ?…別に…用事はないけど…」

「じゃあさ、図々しいと思うんだけど、仮マネしてくれない?」

カリマネ?

カリスママネー??

「いや、変な言葉の変換はよせ。仮のマネージャーだ」

あぁっ!仮マネね!!
危ないあぶない…
だいたい、カリスママネーって…自分で思っときながら、何だよ。

でも、マネージャーとか、ちょいと楽しそうだなぁ〜

んへへ…♪

あたしは、お花を頭に飛び散らせていた。

「なんか…りぃりぃ楽しそうだけど、颯様はいいの?」

はっ!!あたしは夢の世界から覚め、颯という現実を知った。

というか、思い出した。

そうかっ!颯と毎日帰ってるんだったっ!

手伝うなら、先に帰っといてもらわないと。

すでに、手伝う気満々だもんねっ♪

「風瀬くんには、『松コン』でお世話になったし、鶴の恩返し的な感じで、協力するね〜♪」

にこっと笑い、マネージャーの妄想をし始める。

「ふせっちって、意外と積極的だよね」

「あ?まぁ…ストレートじゃないと、わかんねぇだろ?あいつは」

「だよね〜(笑)まぁ…ファイトっ」

「あぁ。フッ…ダメ元だけどな」

2人がこんな会話をしているとも知らずに。




「明日から来て」と、風瀬くんに言われた為、今は颯と帰ってる。

「ねぇ?颯?」

あたしは隣に並んで歩いている颯を、体を曲げてグイッと覗き込んだ。

「あ?なんだよ」

何故か眉を寄せる颯。

「えっと…明日から1週間ほど、バスケ部の仮マネすることになったから、先に帰ってていーよ?」

「はぁ?」

明らかに、あたしの仮マネ発言に機嫌を悪くした颯。

「あっのね?その…風瀬くんに頼まれて…前『松コン』で色々お世話になったから、お返しのつもり…で…」

どんどん顔が険しくなる颯。

やばいっ!完全に怒ってるー!!!




でも、スッと険しい顔をやめた。

怒られなかった。あれれ?

「そうか。わかった。俺も今週だけ夕方から用があるから、李衣に言おうと思ってたんだ」

用?颯が用があるなんて言い出すの珍しい…

「そうなの?なんの用事?」

あたしがそう聞くと、何故か顔色を変える颯。

「べっ別にどうでもいいだろ。李衣には関係ない」

なっ…関係ないなんて…酷い。

それに、少し焦ってた。

おかしい…

「ねぇはや…」

「あっ!もう李衣の家だな。またな」

話を遮られた。怪しい…

あたしは、最悪の事態を思い浮かべた。

浮気…

あたしは背筋がゾクッとし、嫌なほう、嫌なほうに考えてしまった。




いやいや、ないよね。

颯に限ってそんな…

うん。そうだよ。

とにかく明日から、仮マネ頑張ろっ!

あたしは、芽生えた不安に蓋をして、眠りについた。