「………何この子〜!!超かわ〜い〜いっ!!ありえねぇっ!」
ガバッ
「んきゃぁ?///」
抱き着かれたぁあああっ!!
「ぅおいっ!!何してんだ!!馬鹿琥桃!!」
へ?
「うっわぁ?!」
颯が慌ててあたしと琥桃先輩を引き離した。
そしてあたしは、颯に閉じ込められた。
「はっ颯?!離してよっ!」
あたしはつい、恥ずかしくて離れようとする。
「ダメ…もうちょい」
甘い声で囁かれた。
「////ボンッ」
「は?李衣!?」
やっばー…赤いよね?あたし、今超赤いよねー?
チラリと琥桃先輩を見ると、ニヤケ顔。
「颯…素がでちゃうなんて…そーとー李衣ちゃんのこと好きなんだ…」
「……うっせ」
腕の中で、颯を見ようと上を向くと、
「見んな…今は」
そっぽを向いた頬が少し赤かった。
照れてる…可愛い……
「オイ!そこの2人!イチャコラしてんなっ!!そして、俺忘れんなっ!」
「す…すみません…」
「李衣。謝る必要はねぇ。コイツはただ、俺らに妬いてるだけだ」
なっなるへ「李衣ちゃん?“なるへそ"とか思っちゃダメだよ?」
……エスパー!!!
「エスパーじゃないよ?人間なんだよ?!」
「んなことわかってるだろ…流石にそこまで馬鹿じゃ…」
「エスパー!!」
「わりぃ…馬鹿だった」
あたしは琥桃先輩を、キラキラした尊敬の眼差しで見つめた。
「……そっそんなに見つめられると…///」
琥桃先輩が照れた。
母性本能がーー!!
擽られまくってますけどー??
何か?
「見んな。そして見られんな」
颯が見兼ねて、あたしに手でアイマスク。
「くーらーいー…」
「当たり前だろ。塞いでんだから」
「イェス…」
「あっ李衣?今から俺ん家こねぇ?」
えっ?へっ?えぇぇ〜?!
お母様に挨拶?!お父様から、
『お前にはまだはやいっ!!』
『私は、颯さんと…』
「まて。妄想ストップ」
「はヘ?」
「はへじゃねーはへじゃ。打ち上げだよ。『松コン』の」
「あぁ〜なるほど〜あたしはてっきり…」
「てっきり?」
ニヤリといやらしい笑みを、わざと向けてくる颯。
「……お母様とお父様にご挨拶かと」
「ぶっはっ!!流石李衣。そんなこっだろうと思ったけどよ」
「う…うるさい…///」
「はいはいそこーイチャつかな〜い…そして、打ち上げするならはやく行くー」
明らかに棒読みで、あたし達を制する琥桃先輩。
「すいません…琥桃先輩…」
あたしが丁寧に謝ると、
「李衣、コイツのことなんか“先輩呼び"する必要ねぇぞ?琥桃でいいんだ」
颯がそんなことを言い出した。
「うんそうそう!!俺、先輩付けなくても全然おっけー♪むしろ、李衣ちゃんならいつでも大歓迎〜」
琥桃先輩も、いいって言ってるし…
でも、琥桃って…なんか、堅い感じする。
じゃあ……
「モモちゃんでいい?」
「「モモちゃん?!」」
「うん。モモちゃん…可愛いでしょ?」
「うん!俺、そのほうがいいっ♪」
琥桃せんぱ…もとい、モモちゃんは、嬉しそうに笑った。
「奈葉も、打ち上げ行きたいでっす!」
何故か、颯のノックアウトから生還した奈葉が、手を挙げて、アピールしてきた。
「奈葉って奴…お前の何?」
耳元で、小さく話しかけてきた颯に、
「ただの馬鹿。そして悪女」
デカい声でそう言った。
「なっ!!ひどいっ!」
奈葉はブーブー言っている。
仕方ない…
「奈葉も連れてって?」
颯にお願いをした。
「おぅ…俺の嫌いなタイプじゃないならいい」
いや、もろ嫌いなタイプだろうけど…
そのことには、あえて触れず、あたし達は、颯の家へ向かった。
「ここ」
「「ここっ?!」」
あたし達は、颯の家に向かっていたんじゃ…?!
あたしと奈葉は、声をあげた。
それというのも、ここは…
「李衣ちゃん!!ここは、先月完成したばかりの超高層マンションだよ〜」
そう!先月完成したばかりの超高層マンション!!
テレビCMで、かなり宣伝してた。
颯の家が…ここだなんて…
「すごすぎ」
「そうか?この前、あのマンションから越したんだよ」
颯の指の先には、半年前に、かなりの価格で売り出していた高級マンション。
颯…金持ちかよっ!!
「まぁ…行こうぜ」
「う…うん」
何故か高級なとこに入ると、やっぱ貧乏癖がでるよね…
つまり、そわそわする。
「何そわそわしてんの?」
なんだか呆れ顔の颯。
「いや…高級すぎて…その…」
「李衣ちゃん?コイツの部屋、最上階だよ?」
………オウマイガー!!!
〜♪〜♪
エレベーターの、開閉の音すら綺麗なんですけどーっ!!!
「はい」
颯に案内され、部屋に入った。
広…広すぎる…
「やっばー!!奈葉、こんなに広いとこお初だしーっ」
なんかやばくない?
……チラリ
「ピクッピクピク」
(汗)…颯が、人の家に入っていきなり雄叫びをあげる失礼な奈葉に、キレてるーっ!!!!
眉がっ!!ピクピクしてるー!!!!
恐いよー(泣)
あたしは猛スピードで、奈葉を、
「黙れナス」
黙らせた。
「いやいや、充分李衣ちゃんも、恐いんじゃないかな?」
モモちゃんが、失礼なことを言ったので、
「モモちゃん!?『もも同盟』結ばないよ?!」
意地悪を言ってみた。
「何それ…?」
モモちゃんは、わけがわからないようす。
「だってりぃの“李"は、スモモって読むんだよ?だから、琥桃のモモと、李衣のスモモで、『もも同盟』」
「なっなるほど…でも“りぃ"って…か〜わいーっ俺、ももどーめー結ぶー!!意地悪しないからぁ〜」
「どんだけ結びたいんだよ。琥桃」
颯が口をだす。
「いいよっ!モモちゃん!『もも同盟』結ぶ♪」
あたし達は、『もも同盟』の儀式をした。
ただ、自分でハートを片方手でつくり、相手と合わせ、ひっくり返すという簡単な儀式だ。
「いや…あまりにも本気な感じが伝わってくるぞ…?」
颯は遠くで『もも儀式』を傍観している。
「あれあれ?颯様って、俺様だったんだーっキャハ」
「うっわぁどっから湧いた!?!」
「まぁ?王子に裏がありましたーっなんて、よくあることだしぃー」
「話聞けよ…」
向こうはむこうで、バトってるみたい。
「「「「…では」」」」
「「「「か〜んぱ〜いっ!!」」」」
儀式や一悶着があったものの、スムーズに打ち上げが始まった。
「つかさぁ〜李衣ちゃん、優勝しちゃうとかすげぇーじゃん?」
「えぇ?マグレだよ〜あたしなんか、普通に3年の藍河先輩に負けると思ったもん」
「ははっとか言って〜実は自信あったり?」
「ないない。モモちゃんじゃあるまいし…」
「いやいや。颯じゃあるまいし…」
「おい。てめぇら。何故俺の名がでんだ」
「それは〜颯様が、自信過剰だからですよー(笑)」
「潰されたいか?ドMか?小宮間」
「なんで苗字?」
奈葉だけ苗字なんて、おかしいよね?
「あ?李衣しか名前で、呼びたくないから」
…………嬉しい。
これは、意外と嬉しい…
あたしはニヤケる口元を、無理矢理おさえた。
「うっわっ!麻咲ちんがニヤケてるーっ!!」
“ヒューヒュー"とか言って、冷やかす奈葉に、ガンとばして黙らせた。
「だいたい小宮間も李衣のこと、“麻咲ちん"とか言ってんじゃん」
颯が尤もなことを言う。
確かに…
「えーっ李衣って呼びにくいんだもんっ!じゃあ、りぃりぃで」
「なんかそっちのほうが呼びにくくない?」
「えー…可愛いじゃん。りぃりぃ…」
「はっはぁ…」
あたしの呼び名が、りぃりぃに定着したところで、打ち上げも終わりを迎えた。
「「じゃあ」」
「うん!!ばいばーい」
モモちゃんと、奈葉は2人で帰っていった。
意外にラブラブだったりして…?
まぁ、あたしは少し颯の家でくつろごうと思い、残った。