「でさー?それだけ?」
「は?」
感謝の言葉を述べましたけど?
「はーっ…麻咲ちんわかってないなー…」
ため息をつく奈葉。
意味わかんない。
「感謝は…言葉と、物でしょー!!奈・葉・は、見返りが欲しいのっ♪」
…悪女め。
そういうことだったのね…
あたしは深くため息をついた。
「何ため息ついてんの?!幸せ逃げちゃうよ?」
アンタもさっき、ついてたよー…
ツッコむのにも、疲れました(泣)
「で…?何して欲しいの?」
あたしの質問に、待ってましたと言わんばかりに顔をよせてきた奈葉。
近っ!
「颯様のお友達紹介して?」
キラッキラのおめめでそう言われた。
はぁ?
颯の友達??そんな人いるの?
「あれ?李衣だーっ待っててくれたの?」
あたしが颯に対して、失礼なことを思っていると、まさかの本人が現れた。
「?!はっ颯!!」
あたしが後ろを振り向くと、もう、最上級の笑みだった。
「キャーは・や・てさま〜♪」
うっわっ…目がハートですけど…奈葉。
「あっ…李衣の友達かな?これからも俺の李衣を、よろしくね?」
ズキューン
あれ?誰かうたれた??
「は…はい♪」
奈葉がハートを射抜れていた。
はぁ…無駄に王子振り撒くんだから。
「颯〜?はやいよ〜って、颯とはやいってちょっとダジャレじゃね?」
何だかよくわからない人が、ダジャレを言いながらやって来た。
誰?
でも、か・な・り可愛い…というか、男の子なの?
近付いてきたその人を見ると、あたしが見上げるくらいあった。
えぇっ?!普通に170あるでしょーっ!!
「アレ?君超可愛いね〜」
「はっはぁ…」
「俺と遊ばない?」
「はい?」
軽い…軽すぎる…
「琥桃?俺の彼女を何口説いてんの?」
優しい笑顔だけど、目が笑ってない颯。
キレてます…
それにしても、コモモって…この人に似合いすぎ。
「はー?颯の彼女この子?颯に勿体ないから、俺がもらってやるよ〜?」
「…………そんな必要ないから」
にこにこ笑いながら、コモモさんの脛をおもいっきり蹴った。
「!!!いっつ……そっそう?あはは〜」
可哀相…涙目だよ。脛とか…絶対泣き叫びたいよね…
「あっ!!俺、野仲琥桃!!颯とは、幼稚園からの腐れ縁?よろしく!!颯のことなら、なんでも聞いて♪」
あれ?めっちゃいい人じゃん!!
しかも、颯のいろんなこと知ってるのか…弱みとか聞いちゃお〜(笑)
「はい!!琥桃先輩ですね?あたし、麻咲李衣です」
あたしは琥桃先輩に、笑顔を向けた。
「………何この子〜!!超かわ〜い〜いっ!!ありえねぇっ!」
ガバッ
「んきゃぁ?///」
抱き着かれたぁあああっ!!
「ぅおいっ!!何してんだ!!馬鹿琥桃!!」
へ?
「うっわぁ?!」
颯が慌ててあたしと琥桃先輩を引き離した。
そしてあたしは、颯に閉じ込められた。
「はっ颯?!離してよっ!」
あたしはつい、恥ずかしくて離れようとする。
「ダメ…もうちょい」
甘い声で囁かれた。
「////ボンッ」
「は?李衣!?」
やっばー…赤いよね?あたし、今超赤いよねー?
チラリと琥桃先輩を見ると、ニヤケ顔。
「颯…素がでちゃうなんて…そーとー李衣ちゃんのこと好きなんだ…」
「……うっせ」
腕の中で、颯を見ようと上を向くと、
「見んな…今は」
そっぽを向いた頬が少し赤かった。
照れてる…可愛い……
「オイ!そこの2人!イチャコラしてんなっ!!そして、俺忘れんなっ!」
「す…すみません…」
「李衣。謝る必要はねぇ。コイツはただ、俺らに妬いてるだけだ」
なっなるへ「李衣ちゃん?“なるへそ"とか思っちゃダメだよ?」
……エスパー!!!
「エスパーじゃないよ?人間なんだよ?!」
「んなことわかってるだろ…流石にそこまで馬鹿じゃ…」
「エスパー!!」
「わりぃ…馬鹿だった」
あたしは琥桃先輩を、キラキラした尊敬の眼差しで見つめた。
「……そっそんなに見つめられると…///」
琥桃先輩が照れた。
母性本能がーー!!
擽られまくってますけどー??
何か?
「見んな。そして見られんな」
颯が見兼ねて、あたしに手でアイマスク。
「くーらーいー…」
「当たり前だろ。塞いでんだから」
「イェス…」
「あっ李衣?今から俺ん家こねぇ?」
えっ?へっ?えぇぇ〜?!
お母様に挨拶?!お父様から、
『お前にはまだはやいっ!!』
『私は、颯さんと…』
「まて。妄想ストップ」
「はヘ?」
「はへじゃねーはへじゃ。打ち上げだよ。『松コン』の」
「あぁ〜なるほど〜あたしはてっきり…」
「てっきり?」
ニヤリといやらしい笑みを、わざと向けてくる颯。
「……お母様とお父様にご挨拶かと」
「ぶっはっ!!流石李衣。そんなこっだろうと思ったけどよ」
「う…うるさい…///」
「はいはいそこーイチャつかな〜い…そして、打ち上げするならはやく行くー」
明らかに棒読みで、あたし達を制する琥桃先輩。
「すいません…琥桃先輩…」
あたしが丁寧に謝ると、
「李衣、コイツのことなんか“先輩呼び"する必要ねぇぞ?琥桃でいいんだ」
颯がそんなことを言い出した。
「うんそうそう!!俺、先輩付けなくても全然おっけー♪むしろ、李衣ちゃんならいつでも大歓迎〜」
琥桃先輩も、いいって言ってるし…
でも、琥桃って…なんか、堅い感じする。
じゃあ……
「モモちゃんでいい?」
「「モモちゃん?!」」
「うん。モモちゃん…可愛いでしょ?」
「うん!俺、そのほうがいいっ♪」
琥桃せんぱ…もとい、モモちゃんは、嬉しそうに笑った。
「奈葉も、打ち上げ行きたいでっす!」
何故か、颯のノックアウトから生還した奈葉が、手を挙げて、アピールしてきた。
「奈葉って奴…お前の何?」
耳元で、小さく話しかけてきた颯に、
「ただの馬鹿。そして悪女」
デカい声でそう言った。
「なっ!!ひどいっ!」
奈葉はブーブー言っている。
仕方ない…
「奈葉も連れてって?」
颯にお願いをした。
「おぅ…俺の嫌いなタイプじゃないならいい」
いや、もろ嫌いなタイプだろうけど…
そのことには、あえて触れず、あたし達は、颯の家へ向かった。
「ここ」
「「ここっ?!」」
あたし達は、颯の家に向かっていたんじゃ…?!
あたしと奈葉は、声をあげた。
それというのも、ここは…
「李衣ちゃん!!ここは、先月完成したばかりの超高層マンションだよ〜」
そう!先月完成したばかりの超高層マンション!!
テレビCMで、かなり宣伝してた。
颯の家が…ここだなんて…
「すごすぎ」
「そうか?この前、あのマンションから越したんだよ」
颯の指の先には、半年前に、かなりの価格で売り出していた高級マンション。
颯…金持ちかよっ!!
「まぁ…行こうぜ」
「う…うん」
何故か高級なとこに入ると、やっぱ貧乏癖がでるよね…
つまり、そわそわする。
「何そわそわしてんの?」
なんだか呆れ顔の颯。
「いや…高級すぎて…その…」
「李衣ちゃん?コイツの部屋、最上階だよ?」
………オウマイガー!!!
〜♪〜♪
エレベーターの、開閉の音すら綺麗なんですけどーっ!!!
「はい」
颯に案内され、部屋に入った。
広…広すぎる…
「やっばー!!奈葉、こんなに広いとこお初だしーっ」
なんかやばくない?
……チラリ
「ピクッピクピク」
(汗)…颯が、人の家に入っていきなり雄叫びをあげる失礼な奈葉に、キレてるーっ!!!!
眉がっ!!ピクピクしてるー!!!!
恐いよー(泣)
あたしは猛スピードで、奈葉を、
「黙れナス」
黙らせた。
「いやいや、充分李衣ちゃんも、恐いんじゃないかな?」
モモちゃんが、失礼なことを言ったので、
「モモちゃん!?『もも同盟』結ばないよ?!」
意地悪を言ってみた。
「何それ…?」
モモちゃんは、わけがわからないようす。