両親には萌と旅行に行くと嘘をついた。
ウチは厳しかったし、本当の事を言ったら絶対に反対されるからだ。

旅行の準備も着々と進み、沖縄へのホテルの予約も終わり、
あとは出発までの日を心待ちにするだけだった。

そして、旅行の日当日になり、いつものようにホームで待ち合わせをして
ゴロゴロとキャリーバックを引くあたしたち2人。
いつもの数倍もウキウキして笑顔は耐えなかった。

「ねぇ、智。写真のテーマって何なの?」
『え~っと、、、なんだっけな?忘れちゃった!!』
「え~何で!ホント??」
『嘘だよ、嘘~。テーマは秘密。オレのが入選したら分かるからさ』
「そっか。じゃあ、期待して待ってるからねぇ!!!」

そして飛行機に乗り込み、口数が少なくなる智。
「怖いの?」
『怖くない。』
「そういえばこの前、飛行機の墜落事故あったよね」
『怖くないってば』

怯える智の手を握ってみる。
すると、ふっと力が抜けたのが伝わってきた。

「目をつぶってたらすぐに着くから大丈夫だよ」
そういうと、素直に目を閉じて、しばらくするとスースーと寝息を立てていた。

あたしはスチュワーデスさんにブランケットを借りて、智の膝にかけた。

飛行機は何事もなく、あっという間に沖縄に到着した。
飛行機が地面に付いていると分かったとたんに、いつもの様子に戻り
どこに行こうかとか、何食べようかとか はしゃいでいた。
そんな様子を見てあたしまで楽しくなり、あっという間に陽は落ちていった。