流れていく景色。
3年近く立ち止まったままの場所から
一気に加速し始めるようだった。

智のことを忘れたわけじゃない
工藤さんに逃げたわけじゃない
もう思い出にしたかっただけ
いつまでもこのまま立ち止まったままの自分が
嫌になっただけ

そう…それだけのこと。
『おなかすかない?』
「あ、すいたかも!」
『おれオニギリ作ってきたんだけど…』
「え!?ホントに作ったの?」
『はいっ』

そう手渡されたのはコンビニのサンドイッチだった。
「ってゆーかオニギリじゃないじゃんっっ」

隣の席のオジサンにジロリと見られながら
小さな声で笑いつづけた。
工藤さんは本当にいつもいつも
あたしに元気をくれる。