無常にもバスがやってきた。
笑顔で手をふるその外国人女性は
とても美しかった。

「ねぇ、コウキ。」
『どうした?』
「もしも今日、智に会えなかったらもう諦めようと思う」

そう言ってから、ネックレスを強く握り締めた。
コウキは必死に探し出そうとしてくれて
数少ない住人に尋ねたりもした。
あたしは、さっきの赤ちゃんの顔が頭から離れずにいる。
日も暮れて、街頭のないこの地帯はどんどん闇にのまれていこうとしていた。

「コウキ、もう・・・諦めよう・・・」
『いいの?』
あたしはうなずく。