『もう、この近くだとは思うんだけど・・・
 目印が全然ないからわかんないんだよな~』
そう言ってコウキは今来た道を確認していた。

すると、バス停のすぐ横の道からベビーカーを押す
アメリカ人らしき外国人女性が歩いてきた。
こんな田舎に、似ても似つかないような風景だった。

その女性はバス停前で止まった。
あたしはベンチの端の方に移動して座り
その外国人女性も隣に座った。

ベビーカーの赤ちゃんは、髪の毛が黒くて
どうやら日本人とのハーフのようで、とても可愛かった。
あたしは赤ちゃんを見て微笑んでいると
外国人女性はカタコトの日本語で話しかけてきたのだ。

『コドモハ、スキデスカ?』
「好きです。とても、可愛いお顔してますね」
『アリガトウゴザイマス』

そう言って、ベビーカーから赤ちゃんを抱き上げて膝に乗せた。
あたしは赤ちゃんのやわらかいホッペに触れた。
そして赤ちゃんの首に見覚えのあるネックレスがかけられていた。

「抱っこしてもいいですか?」
そう尋ねるとOKと言い、あたしのひざの上に乗せてくれた。
近くで、そのネックレスを見ると
やはりそれは、あたしがクリスマスに智にあげたものだった。
どうして、このネックレスがこの赤ちゃんについているのか
分かるはずもないけれど、、、
もしかしたら智の子供なのかもしれないと
そんな想いが頭を過ぎった。