とても暖かな日だった。
雲ひとつない、キレイな青空の下
あたしは電車に乗っている。
なんともいえない心の重さと、息苦しさが
常に付きまとっている。

3つ先の駅でコウキが乗り込んできた。
もうすぐ智に会えるのに・・・すごく怖い。

あたしだけ立ち止まったままで
智の影ばかりを追っているのかもしれない。
どんな顔をして
どんな言葉をかければいいのか
突然、会いに行って智は怒るかもしれない。
本当は会いたくないのかもしれない。
だから電話にも出ないのかもしれない。

それでも、智は約束した。
「待っていて」と。

『次の駅で降りよう』
コウキはそう言って席をたつ。
あたしもあわてて、コウキの後を追い
ホームに降り立つ。

コウキは携帯を頼りにどんどん進んでいく。
そして、どんどんと駅から離れて、
畑ばかりが広がる景色に変わる。

「智は本当にこんなところで暮らしているのかな?」
『どうだろう。電波もあんまりよくないしちゃんとたどり着けるかな・・・』

また、あの日のようなとても嫌な予感がしてきた。
なにか悪い事が起こりそうな・・・そんな気がした。
急に息が苦しくなった。

「ねぇ、少し・・・休んでもいいかな・・・」
そう言って、あたしはポツンと立つバス停の看板の横にある
小さな古いベンチに腰掛けた。

バスの時刻表に目をやると
1時間に1本しか通っていないことがわかった。