迷路のような庭を抜けて、小さな教員入り口という看板をみつけた。
そこから、中に入り
誰も居ないひっそりとした場所から
「すいませ~ん・・・・」と声を出す。
誰も出てこないので校内へ入った。

階段を上ると生徒がたくさん居た。
あたしも他から見たら紛れてわからなくなっているのかな、なんて
そんな事を思いながら先生らしき人を探す。

『もしかして、智の彼女?』

突然後ろから聞こえる声に、あわてて振り向く。
そこには背の高い男子生徒が居た。

「あ、えっと。はい。」
『あ~やっぱり!!!智の写真にいつも写ってたもんな~』
「あの~・・・・・智の友達ですか?」
『同じクラスだったんだ。仲もよかったよ』

そう言われて、少し安心して智の話をしてみたのだ。

「じゃあ、智の居場所 知ってるの??!!」
『いや、オレは留学して以来連絡とってないからわかんないけど
 安部先生ならわかるかもしれないな~』

『オレも、その後 智がどうなったのか気になってたんだ。』
と言って、先生の場所まで案内してくれた。

先生は留学先の住所を教えてくれて
留学先の学校の名前も教えてくれた。
でも、最後に悲しい顔をしてこう言った。

『でも・・・彼、もうここには居ないみたいなんだ。』
「どうゆう・・・ことですか?」

『自分の実力が向こうでは普通と言うか・・・
 プレッシャーに押しつぶされたようで、日本に戻ると言ったそうなんだよ。』
「日本に、居るんですか?」

『それは、私にもわからないよ。留学を進めたのは私だし、責任も感じてる。
 学校に戻ってくるのを待っているけど、連絡もないし
 向こうの学校にももう行っていないようだし・・・。』


智は行方不明になってしまった。
もう、探すことも出来ないのだろうか・・・。