「萌~・・・どうしたらいいと思う??」
いつも、人の意見ばかりに左右されるあたし。

『付き合ってみたらいいじゃん。智くんからは連絡ないんだし・・・。』
子供を寝かしつけながら小声で話す、萌。

「でもさぁ、智が戻ってきたら、あたし絶対 智のほうに行っちゃうと思うよ・・・」
テーブルに頬づえを付きながら
赤ちゃんを寝かしつける萌の揺れに一緒になって揺れているあたし。

『帰ってきたら、どうするかはその時に考えればいいじゃん。』
「そんなもんなのかなぁ?」
『だって、このまま幸が待ち続けるだけの
 寂しいひとりぼっちの おばあちゃんになったら、私、やだもん』
「おばあちゃん・・・かぁ」

赤ちゃんと一緒に眠くなる。
仕事は思ったよりもハードで体にこたえているのだろうか・・・。

『ちょっと、、、幸~・・・』

萌えの声は遠くなり、そのまま眠りについてしまった。

あたしは夢を見ていた。
あたしは工藤さんとの結婚式の日、誓いの言葉を言おうとした瞬間
智が入ってきて、あたしの手を取って走り去るのだ。
「どうして今まで何の連絡もくれなかったの?」
『本当にゴメン。』
走りながら智が言う。
『今すぐ結婚しよう!!!』

ビクッとなって目を覚ますと、萌があたしの顔を覗き込みながらジット見ていた。
『なんか・・・ニヤニヤしちゃって~、何の夢見てたの?』
「ニヤニヤなんかしてなかったでしょ!!??」
『気持ち悪いほど笑ってたけど~』
「ちょっと!!気持ち悪いとか言わないでよ~・・・」

そして、どんな夢かは説明はしないまま、あたしは萌の家を後にした。
たかが、夢。
わかってはいるけど、信じたい。
いつまで信じれるのかはわからないけど・・・信じて待ってみたかった。