年も明けて、新年会が開かれる事になった。
幹事は、あたしと工藤さんが頼まれて、色々と雑誌を見ては
ここの下見に行ってみようか、などで
工藤さんと2人で居る時間は増えていった。

ある日の、仕事終わり 工藤さんに呼ばれて屋上へ行くと
工藤さんはタバコを吸いながら
流れゆく町並みを見下ろしていた。

ここからみる景色は、何か特別で輝いて見える。

「工藤さ~ん、どうしたんですか??」

そう問いかけると 工藤さんは、軽く手を挙げてからタバコの火を消した。

『幸ちゃん、2年経ったけど彼氏からの連絡はあったの?』

突然の事だった。
工藤さんから智の話を振ることは今まで一度もなかったからだ。

「なかったんです」

なるべく、明るく答えようと思った。

「2年間ずっと待ってたんですけど、1回も連絡なかったんです。
 手紙も届かなかった。
 もう生きてるのかさえ、わかんないんです」

そう言って笑った。
涙はなかったけど、きっと笑顔は引きつっていただろうし
そのことに工藤さんも気づいていたと思う。

『幸ちゃんは、これからどうしようと思ってる?』

どうしようと思っているのか・・・。
あたしはどうしたらいいのか・・・。
そんなこと、考えても居なかった。
2年が過ぎた今でも、あたしは待っているのか
それとも、待っているんじゃなくて
ただ時間が流れてるだけなのか・・・
もうわからなくなってしまった。