智は、突然自分のマフラーをはずしてあたしに巻いてくれた。
「大丈夫?さむくない?」
そう聞くと、笑って大丈夫と言った直後にくしゃみをした。

あたしは笑って、今度はあたしのマフラーを半分、智の首にまいた。
近かった距離が更に近くなった。
あたしは恥ずかしくて、顔を上げることが出来なかった。

智の息が、あたしの前髪にあたる。

「あのさ、、、明日なにしてる?」
「特に、なにも・・・」
変に緊張してる、あたし。

「よかったら・・・明日デートしない?」

デートと言う言葉に、あたしば反応してしまったのか、驚いて智の顔を見上げた。
こんなに、こんなに近い場所にいたんだ。

「だめ?」
心配そうに、顔をのぞきこんできた。
「だめじゃないよ」
そう答えると、智の手が、あたしの頬に触れて、智の顔が近づいてきた!!!!

あたしはギュッと目をつぶってしまい、智の顔は全然見えなかったけど
あったかくて、優しいキスだった。

どのくらいの時間が経ったんだろう。
夢の中にいるみたいだった。
外に居てすごく寒いのに、ココだけが暖かくて、
周りは暗いのに、ココだけがオレンジ色の光に包まれてるような・・・
そんな気がした。

唇が離れた瞬間にひんやりとした空気が流れた。

「ご、ごめん・・・・つい・・・」智は謝ってきた。
何て言っていいのか分からなくって、あたしはうつむいたまま黙っていた。

それが、あたしたちの出会い。
そして、はじめてのキスだった。