ケヤキ並木が


まっすぐに続く駅前の道。


ケヤキの後側には


ビルが立ち並び


保険会社や商社の支店の


看板が目につく。



私が子どもの頃は、


駅前には


大きなビルもなく


お菓子屋さんや旅館


お土産屋さんが


軒を連ねていた。


新幹線の開通とともに


このあたりは様変わりした。


駅から程近い空き地には


マンションが建設されて、


今は 都会で働く 


新幹線通勤の人たちの


ベッドタウンになっている。




生まれた時から


ずっとこの街に住んでいる


私は 並木道に


その時々の思い出がある。



子どもの頃から 


大きなケヤキの


たくさん茂った


葉の隙間から見える


きらきらと光る


太陽の輝きが


大好きだった。





娘の玲奈が


小学校に入学した時から


叔母が経営する化粧代理店で


仕事をさせてもらっている。



夫は仕事で月の半分は


海外に行っているため


育児はほとんどひとりで


こなしてきた。


だから、


子どもたちが小さかった頃は、


働こうなんて


考えてもいなかった。


叔母のところで


事務をしていた女の子が


結婚退職したために 


私に仕事の話が


舞い込んできた。


ママ友だちでも、


本当は働きたい人は


たくさんいた。


でも、子どもが


病気になった時のことを


考えると、


なかなか仕事をする勇気が


ないのが現実。


幼い頃から


可愛がってもらっていた


叔母の元で仕事ができるのは


とてもラッキーだった。