結局、私はコートを見送って真衣だけホクホクした顔で店を出た。別に欲しくなんてなかったもんねーとか見栄を張ってみたけど真衣に鼻で笑われた。どんまい自分だ。


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「あー、彼氏欲しい」

立ち寄ったカフェで真衣はメニューを見ながら注文する様に自然に呟く。
危うく、私もそれにするわ、と言いそうになるくらい自然だったねあなた。


「いつんなったら紹介してくれるわけ?」


真衣はクリクリした真ん丸い目を向けた。

「紹介ったってねー」

簡単にいうけど、案外簡単じゃない。なぜなら、真衣の紹介して欲しい相手というのは、


「かっこよすぎだよ、一条さん。」


一条さんなのだ。

真衣はうっとりしながら頬杖をついた。
この間会社の人と遊びに来ていた真衣はたまたまフロントにいた一条さんをいたく気に入ったらしい。

一条さんは確かに真衣の好みど真ん中。


大人の雰囲気漂う涼しい顔に穏やかな笑顔、長身でサラサラした髪の毛。更にはあの素敵眼鏡も。