それからの日々はよく覚えてない。
ただ、宣言通り鰐渕さんとデートして。キスして抱き締められて、翻弄されて、彼氏だと言って良いのか聞くと馬鹿かと笑われた。
好きで好きで好きで仕方なかった。
奈津美さんとは気まずくて無意識に避けていた。後ろめたい気持ちを振り切れなくて。
彼との恋はジェットコースターみたいに浮いたり、沈んだり。勿論仕事は毎日忙しくて、数える位しか一緒にいられなかったけれど些細な仕草、癖、口調も全て新しい彼を発見する度に嬉しかった。
二人だけの時間に『椎那』と呼ばれる声くすぐったくて。
だから
『あの日』が来るまでは
私は確かに幸せだったんだ。