キスだ、と思う暇なく強く抱き締められる。

「お、オーナー」

「おまえはいちいち面倒くせーんだよ。ぐだくだ考えるなよ」

「なに、を」

「おまえ、俺の事好きだろ」

覗き込む瞳が熱を帯びていて、私を翻弄する。

「…っ!」

「わかんねー訳ねーだろ。どんだけ一緒にいると思ってる」


ばくばくと心臓がうるさい。この人は何を言ってるんだ。
追い詰められたネズミのように縮こまる私を見つめる鰐渕さんは完全に捕食者だ。

「恋愛脳になってくだくだ考えてるんだったら何も考えずそばにいろ」


拒める訳、ない。