自分の想像力の限界が見えて、ため息が出る。
進まなくなった作業に、落ち込む私を時々瑛ちゃんが「疲れてる?僕で良かったらいつでもだき枕になるけど?」なんてからかってきた。

「彼女いるんでしょ?いい加減な事してると逃げられますよ」

「去る者は追わない主義だよ?僕、臆病なんだよね。寂しい間はしいちゃんが代わりに慰めてね」

リア充め。女の敵め。

「しいちゃんてば口に出てるよ」


瑛ちゃんはメソメソしながら、いじけていた。良い大人なのに。巷では仕事が出来ると評判なのに。

「しいちゃん、君が思うよりずっと君は価値ある人だよ。だから、大丈夫」


ドキリとするような笑顔を浮かべて瑛ちゃんは大丈夫だと言う。私の心臓が持たないな、と思う。
つい笑った私を、瑛ちゃんが眩しそうに見つめる。居心地悪くて目を逸らした私の頭を撫でて瑛ちゃんは帰って行った。
きっと瑛ちゃんなりに元気をつけようとしてくれたんだと思う。あんな事言われたら誰だって嬉しくない筈ない。
罪な男だ。