その瞬間に思わず右足を地面に強くついてしまい、
痛みが脳天を突き刺した。
「…っ!」
耐え切れず、何か言っているまーくんに、どさっと倒れこんだ。
まーくんは疑いながら、屋根のあるところに連れて行って、
自分の服の濡れてないところで私の顔を拭いた。
髪についた雨をしぼりとり、
冷たさを取り除くように指で何度も私の顔を撫でた。
強い口調で何かを言いながら、慈しむかのような目で私を見ていた。
これで、もう一度あの家に帰れるんだね
まーくんが、私を探してくれた。
私また、あの家に帰ってもいいんだよね…
「チカ…なんで逃げたの?」
…え?
まーくんの目は怖ろしく澄んでいた。
それが怖くなって少し腕を引っこめると、まーくんはその手を掴んだ。
「行くなよ!」
大きい体をしたいい大人が、切ないほどの表情をして
それはねだる子供のよう。