自分の立場を理解して

やっと決断して、まーくんのいる本屋へ。


店から出て道路を渡ろうとすると、ぽつぽつと雨が降っていた。



小走りで店内に入ると


…なんだか、視線。


そこにいた人にジロジロと見られているような気がした。


なんで見るの?



汚い格好をしてるから?


まーくんの家に寄生して、そんな意地汚い性格だから?




そんな私が…まーくんと手を繋いで


まーくんを汚したから…?…




早くここから出たい。


でもまーくんは見つからない。


人の隙間をぬって走って、目立つはずのあの大きな体を捜す。


でも、見つけることは出来ない。



あ、もしかしたら


先に薬局に行ったのかも!



本屋から出ると雨は強くなっていて、


それからもだんだん強くなっていって、薬局に着く頃には豪雨となっていた。



店の中をびちゃびちゃと濡らしながら歩き回る。


ここでもまた、視線、


視線。



見ないでよ


見たらあなただって、汚れるよ。



必死で探して、それでも


まーくんは見つけられなかった。


脱力しながら薬局を出て、とぼとぼと豪雨の中を歩いた。


強い雨は上着を簡単に通過し、冷たい液体が皮膚にはりついた。


髪の毛もべったり肌にはりついて、


もともと寒い東北の夜。


唇は感覚を失っていた。