「バカって言う方がバカなのよ、バカ拓巳!!」
「なに小学生みたいな理屈こねてんだ、アホ妃那!!」
「そこでムキになってアホとかつけるそっちの方がずーっと小学生みたいじゃない!!」
「んだと!?」
ああ、これでも私たちは高校生。
キラキラ光る太陽と、ちょっとだけ浮かぶ雲が「しかたないなぁ」って笑った気がした。
幼稚園から、小学生から、中学生からこんなくだらない口会話は変わらないから。
太陽も雲も耳タコなんだろうな。
「あいっかわらず口が減らないわね!!」
「減ってたまるかっつーんだよ」
何をぅ!!
叫ぶのに疲れてきたあたしは、拓巳の傍に駆け寄った。
近くなって、彼の瞳が細くなってることがもっとわかる。
楽しいんだろうなぁ。なんて他人事のように思った。
(あたしもだけど)
「ついでに、近くで見るとブス」
「お互い様でしょ?」
「こらこら」
突如介入した第三者の声に、あたしと拓巳は同時に顔をぐるんと向けた。
そしてあたしはきょとんと目を瞬かせ、拓巳は驚きで声を上げた。
「海斗!!」
「私もいるわよ?」
「夏乃まで!」
にっこり笑いながら海斗の後ろにひょこっと顔を出す夏乃。
(夏乃がこの時間にいるなんて珍しいな)
穏やかな性格の海斗は、苦笑しながら口を開いた。