「でも、人に作ってもらったご飯をそんなワガママで残しちゃだめだろう?
それに・・・」
「?」
「こんなに手の込んだハンバーグ作るの大変だと思って。
それでもわざわざ作ったのは、好き嫌いを無くしてほしいっていう妃那ちゃんのメッセージかなぁなんて」
最後はあたしを見て「そうでしょ?」とにっこり。
───そんな綺麗事一ミリたりとも考えていませんでしたとも・・・っ!!!!!
・・・なんて言えるはずもなく。
あたしは首を縦に大きく3回振った。(呆れた顔をする双子はこの際知ったことじゃない)
「優しいね、妃那ちゃん」
「そ、そんなこと・・・っ!」
褒められた恥ずかしさでほっぺが赤くなる。
あたしは両手で頬を押さえて、さっき一瞬浮かんだ涙を利用しながら上目で瑞樹先輩を見た。
お弁当の中身は失敗だったけど、あたしの株は上がったし!
手料理は食べて貰えたし!(褒めてもらえたし!)
さっきは拓巳のバカなんて言ってごめんね?拓巳。
次会ったときはちゃんとあたしがコンビニでお菓子買ってあげるから!!
なんて、心の中で浮かれていたあたしだけど、
最後の言葉に凍りついた。
「拓巳のこと大好きなんだねぇ」
───・・・・・・拓巳、あんた覚えてなさいよ。
(『おい、妃那!お前俺に感謝しただろ?』)
(「サイッテー!!マジ拓巳最低!!」)
(『は?なんでそんな怒ってんの?』)
(「一番最悪なパターンの勘違いされたぁぁぁぁ!!」)
(『マジ意味わかんねえっつーの!!』)