「あ、妃那。コンビニ寄っていい?」
「いいよー。あたしグミ。コラーゲンのやつ」
「奢らせるんかい」
通り道の角にあるコンビニに入ると、軽快な音楽と共に「いらっしゃいませー」という店員さんの声が響く。
朝だからか、心なしか覇気がない。
あたしはほんの少し暖かい店内にくつろぎながら、ドア付近でコンビニ内をめぐる拓巳の姿を見つめていた。
(っていうか何買うんだろう?見えないーっ!)
ちなみにだけど、瑞樹先輩と話すようになって2週間ほどが経過した。
瑞樹先輩、洋平先輩、海斗君、拓巳、夏乃、あたし、たまに和也君が来たり、瑞樹先輩に一目惚れ(きゃ、言っちゃった!)した一件であたしにぶつかった萩君が来たり。
そんなメンバーで毎日一緒にお昼を屋上のフェンス越しに食べるようになって、
あたし達は急速に仲良くなった。
おかげさまで天沢先輩から瑞樹先輩って呼べるようになったし、
瑞樹先輩もあたし達のことを名前で呼んでくれるようになった。
その件については、拓巳にも部活の先輩と親しくなれたってお礼を言われたけどね。
───・・・・・・すっごい複雑そうな顔で、だけど。
「ただいまー」
「おかえり」
会計を終えて返って来た拓巳に手を差し出すと、
さっそく鞄にしまったらしいコンビニ袋の中をガサゴソと漁ってその手に注文したグミを乗せる。
そうそう、これこれ!
さっすが拓巳、あたしの趣味よく分かってるー。
「瑞樹先輩のために綺麗はキープしなきゃね」
音符マークが付きそうな気分でそう口にしながらグミを食べると、拓巳は小さく苦笑した。
「ったく、一時的なもんかと思ったら結構マジなのな」
「あ、ひっどい!あたしこう見えても一途なのよ?」
「知ってる」
「知ってるわけないでしょ、初恋愛なのに」