思い出すだけで胸がドキドキする。

耳元で聞こえた声、

甘い笑顔、

走り去る広い背中。

「~~~っ!」と声にならない声を上げてバタバタしていると、



「「天沢先輩!!」」



と突然2人が声を上げた。

その唐突な大声に、あたしはピタリと固まって、

でもあたしより早く夏乃が口を開いた。



「え?何?知り合いなの、2人とも?」

「多分。天沢瑞樹先輩、サッカー部の先輩」

「今日俺らのダチと天沢先輩が遅刻してきたんだけど、その会話内容と妃那が言ってることがばっちり一緒だ」



そう説明してから、2人は「天沢先輩なら納得だ」と大きく頷いている。

ちょ、ちょっと待ってよ!



「このあたしを置いて勝手に納得しないで!!」



全力で怒鳴ったあたしに空気が固まる。

ぴたり、と動きの止まった3人に対して、あたしはふんと腕を組んだ。



「と・に・か・く!

2人の知り合いなら話は早いわ、あたしに協力しなさいよ」

「協力って言ったって・・・何?合コンでもセッティングしろと?」

「バカね、あたしが合コン行ったら他の余計な男が付いてきて面倒くさいじゃない。

サッカー部なんでしょ?試合に呼ぶとか、今すぐ屋上に来てもらうとか、方法ならいっぱいあるでしょ」

「───試合に呼んでも日焼けが嫌だからって来なかったのはてめぇだろうが」



ぼそり、と嫌味を言った拓巳を「話が別!」と一刀両断。