「・・・嘘だろ?」

「これが残念ながらマジなんですっ!」



昼休み、屋上。

携帯で拓巳と海斗君を呼び出して、夏乃とあたしと四人、フェンス越しのお昼ご飯をエンジョイ中。

そしてあたしは、ウキウキと男二人に報告したのだ。



『好きな人が出来た』



と。

その瞬間の二人の顔ったら、もう言葉に出来ないくらいマヌケだった。

目も口もぽかんと見開いて、固まって、それぞれお箸で挟んだおかずをポトリと落とした。

その漫画みたいな様子に、思わず噴き出してしまって。

そして、ようやく拓巳が呟いた言葉は「嘘だろ」だった。



「何それ、天変地異の前触れ?」

「うわ、海斗君相変わらずひどいね!」

「妃那の性格のひどさには負けるよ」



ふふふ、と笑い合うあたしたちに「どっちもどっちだよ」と呟く拓巳。

殴ろうと思ったけど届かない・・・代わりに海斗君が笑顔で殴っていた。

うん、グッジョブ海斗君。

大きく頷くあたしの隣で夏乃が「似た物同士」と口にする。



「そうかなぁ」

「そうだと思うけど」

「夏乃が言うならそうだよな!」

「ちょっとお前ら夏乃への態度と俺への態度ちがくね!?」

「「だって夏乃だし」」



ブラコンの海斗君と、親友バカなあたしが夏乃に冷たくすると思うか。

拓巳とは違うんです。ふふん、ざまあみろ!

にんまり笑って見せると、拓巳は思い切り顔をゆがめた。