「今日は妃那の運命の日。

ラッキーカラーは黄色。

ラッキーパーソンはAB型の人。

ラッキーアイテムは屋上」

「屋上ってアイテムじゃないじゃん」



淡々と念じるように言葉を発する夏乃に突っ込むと、彼女はジロリと横目であたしを睨んだ。



「ごめんごめん、でも夏乃の占いはテレビよりも当たるから信用してるよ」



慌ててフォローすると、夏乃は「当たり前」とまた視線を前に戻す。

夏乃、実はこう見えて(見た目の通り?)超オカルト好き。

おまじないや占い、呪術、学校の七不思議なんてものは当たり前。

ただ恐ろしいのは、そのおまじないや呪術が怖いくらい成功すること。

そして、その占いがテレビもゲームも真っ青なくらい当たるということだ。

ずっと一緒な私が保証する、夏乃の力は本物だ。



「AB型って、夏乃かな?」

「さぁ、海斗かも」

「じゃぁ今日一日学校いて何もなかったら海斗君に会いに行こうっと」

「どうせ拓巳君迎えに行くんでしょ?」

「まぁね」



海斗君は夏乃の双子のお兄ちゃん。

自他共に認める夏乃至上主義者、いわゆるブラコン。

夏乃と同じく中学からの友達で、

夏乃と同じくあたしの全部を分かってくれてる親友!

今は拓巳と同じ学校に通って、拓巳と同じサッカー部のチームメイトだ。



「じゃぁラッキーパーソンはなんとかなるとして、ラッキーアイテムかぁ。問題は」



今日黄色の物なんて持ってたかなぁ?

もんもんと鞄の中身を脳内再生する。

うーん、せいぜいポーチに付いてるペットボトルのおまけに付いてきたレモンティーストラップだけかも。