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「瑞樹先輩?」



第二体育館入り口付近に行くと、よく知った後ろ姿を見つけた。

ずっと追いかけていたんだもん、間違えるはずもない。

ほんのちょっとだけメイン部と離れたここはやっぱり企画なんて何もしてなくて、

遠くのざわめきがありつつも静かなここにあたしと先輩は2人だけだった。



「妃那ちゃん、来てくれたんだ」

「当たり前ですよ」



振り返ってあたしの姿を見つけた瑞樹先輩は安心したように笑った。

あたしも笑って、「何か用ですか?」と言葉を続ける。



「妃那ちゃんに───話があるんだ」



瑞樹先輩はそう言いながらゆっくりとあたしに近づいてくる。

「話?」そう問いかけたあたしに、「そう、話」と瑞樹先輩は笑顔で肯定した。

何故か分からないけれど、その笑顔を怖いと思った。

勘、という奴なのかもしれない。

頭の奥で警報が鳴って、けれど別のあたしが“相手は瑞樹先輩なのに!”と誤作動だと警報を否定する。



「妃那ちゃん、俺ね、やっぱり妃那ちゃんが好きだ」

「瑞樹先輩・・・」

「本当は気付いてたんだよ。妃那ちゃんも俺のこと好きだろう?」



そうだよ。

ずっとずっと、あたしは瑞樹先輩を追いかけてきた。

瑞樹先輩のためにいっぱいいっぱい頑張ってきた。

釣り合う女の人になりたかった。

付き合うことを夢見ていた。



───・・・けれど。



前に告白されたときもそうだった。

自分でも不思議なほど、瑞樹先輩からの愛の告白に胸が高鳴らないのだ。



「俺には、妃那ちゃんだけなんだ」

「でも、瑞樹先輩の周りに女の人いっぱいいるじゃないですか」