「ホント筋金入りのヘタレだよねー、拓巳」

「まったくだわ。まさかホントにここまで自覚なかったなんて予想外よ」

「っていうか、瑞樹先輩と妃那を引き合わせたの拓巳じゃん」

「何もしなければ、多分一番自然な形で拓巳君が妃那の側にいれたのにねぇ?」

「お前ら黙れよ!!」



くっそー、人の傷を抉るようなことばっか言いやがって!!

ガシガシと更に激しく頭をかき回して、2人の言葉を否定する。

俺だって自覚したっつーの!でも認めたくないんだっつーの!!

そんな俺の様子が面白かったのか、2人は更に声を上げて笑った。



「それで、拓巳君?」

「───・・・んだよ」

「やだ、身構えないで?ちょっとからかっただけじゃない」



全然ちょっとじゃねぇよ。

そう思いつつ、俺に自覚させてくれたのはコイツらだ。

一応ここは大人しく従ってやろうじゃないか。

そんな気持ちで、夏乃を見上げた。



「妃那のこと、どうするつもりなの?」



にこっと夏乃は目を細めて言った。

その言葉の真意が深すぎて俺が押し黙ると、夏乃はそのまま続けて口を開く。



「鈍い鈍い拓巳君が自覚しなかったせいで感情の赴くままに自分勝手な判断と言葉で妃那を傷つけておいて謝るだけで済まそう何て思ってるわけないわよね?」



一息に言い切った言葉には、俺に対する攻撃の刃が散りばめられていて夏乃の怒りと俺を責める感じが痛いくらい伝わってくる。

───分かってるっつーの。

謝って許されるとも思ってねぇし。

妃那を好きだと思った以上、俺のしたいことはただひとつ。

問題は、それをこの女が許してくれるか、だ。



「なぁ、夏乃」



意を決して俺は口を開く。

いつも夏乃に責められると押し黙って受け流すか、平謝りをする俺が冷静に切り返したから驚いたのか、夏乃は目を見開いた。