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「遠慮なく本題に入るけど、これ。どういうこと?」
入って鍵を閉めた瞬間夏乃に差し出されたのは、妃那の携帯だった。
まだ付いている俺のプレゼントであるストラップに、なんとなく「馬鹿だなぁ」と思う。
(そして「バカって何よ!」って頬を膨らませる妃那の顔がすぐに思い浮かぶ俺もかなりの馬鹿だとは思うのだが)
ここ2日、逆に妃那から嫌われてもおかしくない行動を俺は取っているというのに、妃那はストラップを外さなかった。
考えるより早く安心感を覚えた自分に、内心嘲笑した。
「───・・・拓巳、どういうこと?」
そんな妃那の携帯画面に映し出されていたのは、間違いなく俺がさっき送ったメール。
その文面を読んだ海斗までが渋い顔をして俺を見た。
その咎めるような心配するような視線から思わず俺は顔を背けて「見たままだよ」と小さく呟く。
その瞬間、
ガンッ
「言い逃れ出来ると思うな、って言ったよね?」
横の本棚を夏乃が殴った。
計算したかのようにバサバサッと上から本が落ちてきて俺の頭を次々殴っていく。
「いてぇ!!」と叫ぶと、「妃那の方が痛がってるわよ」と一刀両断された。
「・・・私、拓巳君は妃那大好きだと思ってたんだけど?」
ふぅ、と気持ちを落ち着かせるように息を付いた夏乃。
頭をさすりながら顔を上げたら、彼女はなんとも不安そうな顔をして俺を見つめていた。
「もちろん、今でも拓巳君が妃那のこと嫌ったと思ってない。
・・・だから、何か考えがあってのことかなぁって思ってる」
「だったらなんで」
だったらなんでそんな怒ってんだよ。
そう言うより早く、夏乃は何処からともなくわら人形を取り出して微笑んだ。
よく五寸釘で打ち込まれるアレだ。