夏乃は怪訝そうにあたしを見る。
あたしはと言えば、携帯に視線を戻しながら「分かってるよ」と答えた。
しばらく感じた視線は、「ならいいけど」という半ばしぶしぶとも取れる言い草の夏乃の言葉と共に離れた。
やっぱり夏乃はあたしのことよく分かってる。
そう思って苦笑して、完成したメールを送信する。
『あたし、ミスコンに出ることになったよ★』
たったそれだけ。
拓巳、なんて返事くれるかな。
中学生のときみたいに「なんだよそれ、間違っちゃったコンテスト?」って悪態つくのかな。
それとも、素直に「おめでとう」って言ってくれる?
胸に抱く期待は明るい返事ばかりで、
希望ばかり願ってた。
だから、
ブーッブーッブーッ
「来た来た!」
返信が来たっていうだけで、あたしは浮かれていて。
(だって、返信すら来ないかもって少しは思ってたから)
なんの心の準備も無く、
疑いも無く、
受信したメールを開いたあたしの心は
「───っ!!!」
一瞬で、打ち砕かれた。
「・・・妃那?」
携帯を見つめたまま固まったあたしを不審に思ったらしい夏乃に声を掛けられる。
けれど、その声もどこか遠くで響いた。
From:拓巳
Title:無題
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もうメールしてくんな
ウザイ
―END―
───・・・もう、限界だった。