「じゃぁ、今の穴埋めも含めて今日は楽しもうね」
「っ・・・はい!!」
「行こう?」
そう言って、瑞樹先輩の手が差し出される。
サッカーで手は使わないからか、骨ばっているけれど綺麗な指にドキドキしてしまった。
一度繋いだというのに。
一度この腕に抱きしめられたというのに。
あたしは大きく深呼吸して、その手に自分の手を重ねながら、
自分に出来る一番の笑顔を見せてもう一度「はい!」と返事をした。
「さっそくアウトレット行く?」
「はい!あたしお買い物大好き」
瑞樹先輩と手を繋ぎながら知らない街中を歩く。
今更の話なんだけど、今日は少し遠出をして電車で1時間くらいのアウトレットに来ていた。
ここに来たのは瑞樹先輩からの提案なんだけど、お買い物大好きなあたしとしては嬉しい提案。
最近お買い物してなかったし!
───・・・ってちょっと、誤解しないでよ?
お買い物って、必ずしも相手に奢らせる目的じゃないんだからね。
(結果的に奢って貰ってるだけよ!拓巳は強制的に奢らせてるけど!)
「ところでどうしてこんな遠いところで遊ぶんですか?」
そういえば聞いてなかった、と思って隣を歩く瑞樹先輩を見上げる。
瑞樹先輩は「んー」と言いながら微笑んだ。
あぁ、その横顔も素敵です・・・っ!と思うあたし、重症。
言っていいのかなぁ、と言う瑞樹先輩に言って下さい!と主張する。
「じゃぁ言うけど」
「はい」
「地元だと妃那ちゃん有名だから。誰にも邪魔されたくないでしょ?」
・・・
・・・
・・・
ごめんなさい、それ悩殺ものです。
(録音したい録画したい着ボイスにしたい・・・っ!!!)
ってあれ?
まったくおんなじセリフ、前にも言った気がする。
あたし、今日心臓持たないかもしれない。本当に、冗談抜きで。