「待ち合わせって言ったって相手来てないじゃん?」

「つまんないでしょ、俺らと遊ぼうよ」

「あいにく待ち合わせ時間前だから。あたし待ってるのも好きだし、お気遣いなく」



あたしは刺激しないように言ったつもりだし、出来る限り優しくにっこりと笑ったつもりだった。



「っ、調子乗るなよ!」

「きゃ!」



捕まれた肩を勢いよく突き飛ばされて後ろにあった柱に体を打ち付けられた。

ったた・・・背中に走った痛みに思わず顔をしかめてしまった。

っていうか。

ここまでされて笑顔でいるほどあたしいい子じゃないんだけど?



「ちょっと、女の子相手に何するのよ!」

「おぉ、威勢がいいねぇ」

「それくらい強気な方が燃えるって」



悪びれた様子がないどころか茶化してくる2人にあたしの怒りはヒートアップ。

『だから、すぐカッとなるのお前悪い癖だって』

って、うるさいわよ拓巳!脳内に出てくるんだったらさっさと助けなさいよ!

無茶苦茶な会話を脳内でしつつ、

「ふざけないで!」と怒鳴ったらさらに笑みを深められた。

イライラする。

気持ちが悪い。

ぐっと唇を噛んだ。



「じゃ、行こうか」



は?と顔を上げたときには、既にあたしの腕はつかまれていて。

「ちょっと!」と怒鳴ったら、もう一人に反対側の腕を捕まれた。

「いいじゃん」って全然良くなぁぁぁい!!

あたしが振り払おうと体に力をいれた瞬間だった。