あの日以来コーヒーを飲みたくなるとこの店に足が自然と向いた。
いつ来てもガランとしたこの店は『螺旋』というなんとも微妙なネーミングセンスな店である。
「お兄ちゃんいらっしゃい今日もコーヒーでいい?」
いつも元気なこの子は店主の子どもで名前は『あずさ』宇宙人と地球人のハーフだ。
「有り難うあずさちゃん高校はもう終わったの?」
「うん、いまテスト期間だから早いの。今日はお父さんに会えるといいね」
あずさはそう言うとスキップしながらカウンターに入った。
カランコロンカラーン
扉が開く鐘で振り向くと大きなダンボールをもった男がひとり。
目が合った
彼は無言で近づいてきてダンボールをテーブルの上に置いた
「ついに見つかってしまったか。初めまして後輩君、初代『観測者』の文七だ。宜しく!」