ボソボソとだったが、ちゃんと聞こえた。



「黒翼龍は……お前に……任せたぞ?……お前も……早く大切な……人を見つけろ………」


「………に言ってんだよ…」


そして兄貴は涙を流しながら俺にしか言えないような声で言ったんだ。


「まだ……死にたくねぇな…………麗香……ごめんな……お前……は…生きろ………よ……な……」



麗香?

って誰だよ………。

俺はそんな疑問を胸にひめたまま、兄貴がなんであんな無惨な姿で死んだのか分からずに…黒翼龍を引き継いだ。



――――――――……



最後の麗香ってのは、こいつの事だったのか…


つじつまがあう。


前みたこいつの単車。
あの懐かしい感じは、兄貴のゼファーだったからだ。

寝言で言ってた『咲哉』って人物名。
まさかとは思ったが、やはり兄貴だったか………。