――ポン



咲哉があたしの頭を優しく叩いた。



あたしが大好きな行為の一つだった。



あたしは頭を叩かれると必死で我慢していた涙が一気に溢れだしていた。



「…さくっやっ!!あたし…咲哉が……ヒック…いなっいと無理っ…だよぉ…」


「…………」


咲哉は黙ったまま。


「なんで…黙ってるの…よぉっ…!!」


「ごめん…麗香…けど麗香を守れて俺はお前守れて良かったよ。お前は生きろよ?俺が守った命なんだからよぉ。俺の事にいつまでも執着してねぇで、早く幸せになれ。」



「なっ…………にっ………………ヒック…うぅぁ…」


言い返したいのに言葉にならない。



「麗香………愛してる」



そうしてまたあたしの頭をポンッと叩いた。



そして………咲哉は消えていった。