いくら『ギャル』だといっても所詮まだ中学生、あの三人が金髪と呼べるほど明るい色に髪を染めてくることは今までなかった。


格好も女子高生ほど完璧にあか抜けてはいなかったのに、それがどうしたことだろう。


今の彼女達の姿に幼さはもう、ない。


五時間目なかばであるにもかかわらず、後ろめたさを微塵も感じさせない堂々の登校である。


「なにあれ、どうしちゃったんだろう」


何かしらの返事を期待してつぶやいたのだけれど。


反応がない。


たしか誰かさんが傍にいたはず……。


「アリィ?」


隣に目をやると、やはりアリィは窓にはりついていた。


いるなら返事くらいしてよ。


「ちょっと、アリ……」


肩をつつこうとして、やめた。




窓の外、カナエ達を見つめるアリィの目に、私は背筋が凍った。




興味津々とか、食い入るようにとか、そういう表現では追いつかないレベルの、もはや狂気が漂っていたのだ。


本当にビームでも出しそうな勢いで見つめている。


そこには何者であっても入りこむ余地などない。


アリィがピラニアに見えて、なぜだろう、腹の底で違和感がうずいた。