レンガの歩道は時計台が立っている場所から二股に分かれている。


門から見て左に行けば校舎、右に行けば運動場に出る。


登校時間には、この道の分かれ目、時計台の下に体育科で生活指導主任の五十嵐先生が必ず立っていて、毎日こりずに生徒の服装チェックをしている。


何もなければそのまま校舎に入れるのだが、チェックに引っかかると一度運動場に集められ、

始業のチャイムが鳴ってから一時間目の授業が始まるまでのあいだ説教をくらわなければならない、という仕組み。


しかも、その後一週間は放課後にトイレ掃除の罰が待っている。


生徒達にとって、そこはまさに『運命の分かれ道』なのだ。


まあ、校則を破ろうなんてたくらみのない私にとっては、そこはただの道でしかないのだけれど。




今日も相変わらず美しい景色。


冷えた空気のおかげで、多数の生徒の怨念をはらんでいるだろう『運命の分かれ道』さえも、何もかもが澄んで見える。


こんな景色を眺めているだけでいいのなら、死ぬまで学生でいたいな……なんて、そんなの夢物語だけれど。


実際はこんなにつまらない学生生活、早く終わってしまえばいいのに。


私はあと何年学生でいなければならないのだろう。


高校を卒業するまで、あと四年半。


大学まで行くとしたら……あと八年半!


考えられない。


その時々で環境は変わるだろうけれど、行き先に集団生活があることには変わりない。


だとしたら、面倒な人間関係というものは必ずつきまとってくるわけで。


考えたくもない。


大学には行かないことにしようか……。




いや、待てよ。