『始めろって何を?』


「お前は馬鹿か!? 自己PRに決まってるだろう。社長はお前のことを評価しているが、実際のところはどうか分からない。始めに言っておくが、俺ら全員厳しいからな」


ここに来た本来の目的を忘れかけて聞き返すと、当然のことながら怒られてしまう。


うっ、馬鹿って言われた。

そりゃ私が悪いけど……。


『……少しくらい待ってくれたっていいのに……』


「どうした? やらないのか?」


聞こえないようにぼやいたつもりが、絶妙のタイミングで詰め寄られた。


絶対聞こえててなお且つ無視したんだと思う。



『やりますー』


意地の悪い遥に心の中でベーッと舌を出しつつ、宣言した。


せっかちな男の子は嫌われるんだからねっ。



『それじゃあ歌うたいます。曲は【Brave×Stars】のデビュー曲で』


大きく深呼吸をする。


由依のおかげで緊張はほぐれた。

大丈夫。


私……ううん、僕ならできる。




~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~


ごめんね 嘘つきで

ごめんね 口下手で

素直に好きなんて言えるほど

僕は大人じゃない


僕のウソは 愛情表現

だから言い続ける

好きなんかじゃないって


ごめんね 意地悪で

ごめんね 天邪鬼で

優しく抱きしめられるほど

僕は大人じゃない


僕のイタズラは 愛情表現

だから言い続ける

抱きしめてやるもんかって


僕のウソは愛情表現

だから言い続ける

好きなんかじゃないって


~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~