部屋に戻るとチビ達の意識がこっちに向く。
「あっ湊ちゃん帰ってきたー!!」
チビ1。
「検温だよー」
チビ2。
「お外綺麗だった?」
チビ3。
その3人の質問をまとめて答える。
「分かってるよ。」
…チビ2の質問にしか答えてないけどまぁいいか。
あたしは自分のベッドに戻って体温を測る。
5分後にピピッという音がして脇から取り出す。
37度2分。
ちょっと高めかも。
「はい」
「んー…ちょっと高いね。今日は1日寝てなきゃだめだよ?」
「…」
「へ・ん・じ!」
「はいはい」
「一回でいいの!」
それだけ言って鈴原さんはナースステーションへと帰って行った。
…ちぇっ。
外出禁止とか暇すぎるのに…最悪。
でも行っちゃえ。
「湊ちゃん今日はお外行っちゃだめだよー?」
チビ1…じゃなくて。
笹岡優斗(ささおかゆうと)くん。
あたしと同じ心臓病の子。
でもあたしよりは軽いみたい。
「鈴原さんに頼まれたのー」
チビ2…が雅夏騎(みやびなつき)くん。
今骨折で入院してる子。
もうすぐ退院らしい。
「寝てなきゃだめだよっ!!」
チビ3…が雅三月(みやびみつき)ちゃん。
夏騎くんの双子の妹。
白血病で入院してる子。
小3。
みんなかわいくていい子達なんだけど…ちょっとウザい。
でも嫌いじゃない。
兄弟のいないあたしにとっての兄弟だから。
でもまぁ…ね。
かわいいチビ達に止められたとしてもよ?
行きますよ、お外へ。
ガラッ
湊ちゃん!
ってあたしを呼ぶ声を無視して屋上へレッツゴー。
廊下を歩いてる時に看護師さんとかが声をかけてくる。
「湊ちゃん、おはよう」
「今日は体調いいの?」とか。
あたしはそのことに
「まぁ」とか
「どーも」とか
とりあえず一言で返す。
今さらですけど…あたし口悪いのよ。
人と関わるのも嫌いだからね。
テキトーにサラッとかわすの。
そんなあたしの性格も長く病院にいるせいかみんななんとも思わないみたい。
病棟みんなの知るあたしの性格の悪さ。
…ハハッ。最悪じゃん。
と、まぁ。屋上まで数メートルの時。