「全く…って、赤ん坊じゃないかい。
ほら、お寄越し」
返事を待たずにアイルを奪うと、
女将は「よしよし」と言って軽く揺さぶった。
すると、さっきまで泣き喚いていたのが嘘のように、
静かに眠りに就いた。
「可愛いねぇ、あんたらの子かい?」
「「違います」」
サン、寝ていたはずじゃないのか。
「じゃあ何処から掻っ攫ってきたんだ?」
「…知人が亡くなったんで、
引き取ったんですよ」
「ふぅん…あんたら世話できんのかい?」
「………」
「仕方ないねぇ、あたいが教えてやるよ」
女将はメモ帳を取り出し、
何かを書いて俺にクロードに渡した。
「これ買ってきな」