アイツが待っているだろう宿屋に着いたのは、
もう夜も明けるところだった。
だが、珍しくソイツは起きて待っていた。
「お帰りー、どうだった?」
黙って首を振る。
「だろうねぇ。って、ソレ何?」
「人間」
「ちっさー…。生き残りー?」
「ああ」
「…どうするのぉ?」
「………」
そう言えば、俺はこの赤ん坊を拾って、
どうしようとしていたんだろうか。
ただ、連れて帰る。
それだけを考えていた。
「…僕たちは、悪魔ですよ」
「…分かってる」
珍しく、サンルドが真面目だ。
つまり、こう言いたいのだろう――。
『悪魔と人間は、相容れない』
「現に≪彼女≫だって…」
「黙れ」
「事実で…」
「黙れ!」