何処までも続くような、深い森の中を駆ける。


ようやく森が開かれると思った時には、
既に小さな村は赤い炎に包まれていた。


ああ、遅かった――――――。



もう、手遅れだ。

今から消火したとして、
生きている者はいないだろう。


村はもう跡形も無く燃え尽き、
周囲の森林をも巻き込もうとしていた。


彼は小さく呪文を呟いた。
その次の瞬間、燃え盛っていた炎は、
何処からか現れた水によって消された。

そして何を思ったか、瓦礫の中を歩き出した。