頭の中に該当人物が浮かぶ。


「由優…。それ…俺の弟。」


ボソッと呟く俺の声に、由優は胸に埋めていた顔を少しだけ離した。


「お……弟さん?」


「そう、弟。奏多(カナタ)って言うんだけど、“カナ”って呼ぶことが多いから。確か、あの時はアイツに風邪うつされたから、イライラのあまり夢にまで出てきたんだろうな…。」


まさか、そのせいで由優に誤解を与えていたなんて…。


「風邪…?あの時は雨のせいで熱が出たんだよね?」

「いやいや、あれはカナのせい。アイツがちょうど熱でダウンしてる時でさ…。家で鬱陶しいくらいまとわりつかれたから、あれで風邪がうつったんだよ、きっと。」



俺が熱出したら、アイツ…かなり元気になりやがったし…。