「まだ、完全覚醒が出来てない。余計な真似は、するな。」
暗い暗い、まるで地下室みたいなところで、その男はいた。
何も写さないような、灰色の瞳。
口調は、どこまでも冷やかで、その声を聞いただけでもすくみそうになる。
「申し訳、ありません…」
その足元に平伏すのは、女性で、カタカタと小刻みに震えている。
「…ああ!僕のカオ!!もうすぐ会えるよ…」
男は、歓喜に体を振るわせ、空を見上げた。
空には、三日月が不安そうに鈍い光を放っていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…