カオがいない。

目が覚めたら、隣で眠っていたはずのカオがいなくなっていた。

嫌な予感がした。

慌て、下へ降りた。

すると、玄関からカオが入ってくるところだった。

「カオ…!何処へ行ってたんです!?しんぱ…」

「うるさいっ!リヒトっ」

最後まで言わせず、カオが睨む。

「──?カオ?」

夕べと違う雰囲気に、一瞬戸惑う。

「…おもい、出されたんですか?」

「……もう、あの、カオはいない。」

こちらを見ず、静かに言うカオに、記憶が戻ったことを知る。



儚い、夢だった。

一夜限りの夢だった。