パリーン。頭の中で、ガラスのようなものが割れた音がした。

ハッと気が付くと、私の周りを竜巻みたいな風が吹き荒れていた。

「…さすがは、カオ、ですわ。」

強風にさらわれないように、シェルは足を踏ん張り、ボソリと何か唱えた。

すると、シェルの周りに見えない壁みたいなものができ、風がシェルを避けるようになった。

「……私は、ずっと聞きたかった。どうして、100年前、あんなことをしたのか。」

「あの時も、言ったように思うのですけれど?」

まるで、少女のように無邪気に笑うシェル。

「…………そう。」

私は、もう諦めるしかないことを知る。
可愛い、妹だと思っていた。永遠を生きる、化け物である私たち。
共に歩いていけると、あの時まで信じていた。
……いや、微かな希望のもと、今まで信じていた。

「カオ?質問の返事は、まだいただいてないわ?」

「…どうして、リヒトを巻き込んだの?」

それに答えず、静かに質問を返す。


思い出してしまった。
リヒトとの、関係…。

「面白かったんですもの。」

ふいに、シェルが答えた。ころころ、と笑いながら。

「嘘に、あっさりと騙されて。結果、いいように利用させていただきましたわ。…本当に、人間って愚かですわね。」

ピリッと電気が走るように、怒りが込み上げてくる。

「カオが、そんな愚かな人間に夢中になっているのも、面白かったの。」

バチリ、と電気が跳ねた。身体のまわりを、静電気のように、細い光の線が駆け巡る。

「シェル…、貴女って人はっ…!」

我慢できない怒りに、支配された時、目の前のシェルが…

「っ!!───っぎゃあ──」

燃えた。
それを、どこか冷めた瞳で見つめる自分がいた。