部屋につくと、早速タケルの唇に噛みつくようなキスをした。
「!…ッん」
いきなりのことに、びっくりしたようだったが、すぐに受け入れてくれる。
深く舌を入れてくる、そのキスは官能的で身体が熱くなる。思わず、タケルの首筋に回してる手に力がこもる。
ガリッ
爪をたて、ひっかく。
細い糸のような血がにじむ。くちづけをとき、猫のようにその傷を舐める。
タケルはそんな舌の感触に、ブルッと身震いした。
そして、少し荒々しく覆い被さってきた。
「…カオ」
名前を呼ばれ、受け入れるように微笑み、目を閉じた。



「で?笑顔で見送ったと?」
ニヤニヤとしながら、面白そうに言われる。
それを無視して、たずねる。
「ご用は?」
カオの屋敷である、この大きく古い家は、鬱蒼としていて近づく者など、ほとんどいない。ましてや、ある噂のあるこの屋敷に近づく者は、コレともう一人くらいだ。
「カオいないなら、別にいい。」
「では、お引き取りを。」間髪なく言い放つ。
しかし、そんな様子も面白い、というように深く座りなおした。
「苛立ってるねー。」
「ウルサイですよ。」
チッと心の中で舌打ちする。オモチャにされるな…。「………自業自得だからな。」
思いの外、低い声に目を見張る。
「オレたちは、受け入れはしたが、許してはないからな。」
重低音の声が頭に響く。
「わかっています。」
改めて言われた一言に、慎重に答える。深く突き刺さる言葉。目線が下がるのを感じながらも、何もできずに絨毯をながめた。
「……まあ、分かるけどな…」
慰めるような声に、顔をあげる。
「…ヒカル?」
彼が私を庇うようなことを言うなんて、思いもよらなかったのでびっくりした。「…カオを待つから、紅茶いれて。」
そう言いながら、いつもの人をくったような笑顔になる。
いつもなら、ティーバックで入れる紅茶を、葉っぱから入れることにする。
ありがとう…。
感謝の気持ちを込めて。
「そういえば、ショウは?」
一緒じゃないのか、とたずねる。